01 / CARNEXT DATA
EVを買う人の73%が、
「売るときの価格」を見ている。
カーネクストが2026年8月、EV購入者・検討者300人を対象に行った調査では、73.0%がEV購入時に「将来いくらで売れるか」を重要と回答しました。
非常に重要23.7%+やや重要49.3%
「分からない」も20.7%
充電設備不足51.3%、車両価格41.0%
この調査は「実際のEV中古価格が何%下がったか」を測定したものではありません。EV購入者・検討者300名の意識・不安を示す調査として読みます。
- FACT
- 将来売却価格を重要視する回答が73.0%。57.3%がEVはガソリン車より中古価格が下がりやすいと回答しています。
- ANALYSIS
- 消費者にとってEVは、購入価格だけでなく「数年後にいくら回収できるか」が購入判断の一部になっています。
- HYPOTHESIS
- 新車補助や充電インフラだけでは、「出口価格が分からない」という心理・金融上の障壁を取りこぼす可能性があります。
02 / RESIDUAL VALUE
「残価」は、売るときの話ではない。
買う瞬間の価格でもある。
自動車の実質負担は、購入時の価格だけでは決まりません。数年後に売却する前提なら、「購入額から将来の売却額を引いた差額」が所有コストの大きな部分になります。
クルマの実質コストを単純化すると
税・保険・金利・補助金などは省略した概念式です。
オリックス自動車、EVolity、パナソニックHDは、中古EVの客観的なバッテリー評価が十分でないことでリセール価格が低くなる傾向があり、その結果リース時の残価が低く設定され、月額料金が高くなることがEV導入障壁の一因になると説明しています。
SOURCE / ORIX × EVolity × Panasonic HD →03 / INFORMATION ASYMMETRY
同じ年式・同じ走行距離でも、
EVには「見えない差」がある。
中古車の価格は年式、走行距離、事故歴、車両状態などで評価されます。EVではそこに、駆動用バッテリーという高価で状態を外から判断しにくい部品が加わります。
見えやすい情報
- 年式
- 走行距離
- 修復歴
- 車両状態
- 整備履歴
バッテリー情報
- SOH / 残存容量
- 充電・使用履歴
- 温度・利用環境
- 想定航続距離
- 将来の劣化見通し
MODEL / INFORMATION ASYMMETRY
問題は「バッテリーが劣化すること」より、
劣化の程度を市場が共有できないこと。
状態を共通指標で測り、買い手・売り手が同じ情報を持てるなら、個体ごとの差を価格へ反映しやすくなります。
04 / SOH
そこで重要になるのが、
バッテリーの「SOH」。
SOH(State of Health)は、新車時のバッテリー容量を100%としたときに、現在どの程度の容量が残っているかを見る指標の一つです。
SOHを「車両状態」の一部として見せる
日産は2026年2月、リーフの一部中古車を対象に「日産バッテリー状態証明書」のトライアルを開始しました。SOH、残容量、想定航続可能距離をメーカーが公式に証明する仕組みです。
「価値の不確実性」シミュレーター
実際の査定額ではなく、「状態」「診断情報の信頼性」「市場流動性」が揃うほど評価しやすくなる構造を示す教材用モデルです。
※実際の買取価格・残価を示すモデルではありません。
05 / MARKET RESPONSE
2026年、メーカーも市場も
「EVの状態証明」に動き始めた。
06 / SECONDARY MARKET
残価が低いと、
良い中古EVが国内に残らない。
経済産業省資料では、中古EVの海外輸出台数は2017年の約4,000台から2023〜2024年には約2万台規模まで増加しています。EVに搭載されたバッテリーも車両と一緒に国外へ出ていきます。
約5倍
2017年 約4,000台 → 2023〜24年 約20,000台(資料掲載の概数)。
約8割
eMotion Fleetは、国内の「優良な中古EV」の約8割が海外へ流出しているとの業界認識を示しています。
残価が見える市場ができると
中古EV市場の整備は、新車EV市場と独立した施策ではありません。
07 / BUSINESS MODEL LESSON
EVの競争は、「新車性能」から
ライフサイクル設計へ移る。
航続距離、充電速度、車両価格だけでなく、数年後にいくらで手放せるかまで含めて競争軸は広がります。
RAXUS VIEW / EDITORIAL TAKEAWAY
EVを売る会社だけでは、
EV市場は完成しない。
必要なのは、新車販売、充電、バッテリー診断、中古査定、オークション、輸出、再利用までをつなぐ市場インフラです。残価とは中古車の価格ではなく、EVのライフサイクル全体を評価する「市場の答え」だと考えられます。
08 / CARNEXT CONNECTION
カーネクストにとって、
「売却データ」はEV普及の入口になる。
カーネクストはオンラインで中古車の買取・売却を支援する「出口側」のプレイヤーです。EVの購入者が将来売却価格を重視するなら、買取・流通市場の情報は、次回購入の意思決定にもつながります。


