01 / MARKET SNAPSHOT
2026年の競争は、
「安い」だけでは説明できない。
3社とも価格負担を下げている。しかし、その先に作ろうとしている経済圏は異なります。Uber Eatsは移動・配送まで統合、出前館はLYPと国内の注文頻度を強化、Rocket Nowは無料を武器に一気に密度を作ろうとしています。
UBER EATS
3A戦略で「生活インフラ」へAnywhere / Anything / Affordability。食事だけでなく配車・即時配送・小売物流まで横断。
18,000「お店と同じ価格」開始店舗(2026/3)
出前館
価格の壁を壊して、注文頻度を上げるお店価格・送料無料・大型販促・LYPプレミアム。注文数とユニットエコノミクスの両立を狙う。
25,000お店価格対象店舗(2026/8/1時点)
ROCKET NOW
「無料」を入口に全国密度を急拡大送料・サービス料0円。GOとの相互送客、ローソン、店舗広告など周辺レイヤーも追加。
420都市 / 46都道府県(2026/8)
02 / STRATEGY SWITCHER
同じ市場にいても、
3社は違う「ゲーム」をしている。
「食事のアプリ」ではなく、日常のオンデマンドOSへ。
Uber Eats Japanは2026年、郊外展開(Anywhere)、食料品・日用品拡大(Anything)、お手頃さ(Affordability)を「3A戦略」として明示。Uber OneはEats・配車・Courierを横断し、家族共有や海外利用まで拡張しています。
1件利益を一時的に下げても、注文頻度と市場シェアを取りにいく。
出前館はIRで「お店と同じ価格」とサブスクリプション等による注文頻度・リテンション向上を明示し、「1件あたり利益の減少」より「オーダー増による利益総額の増大」を狙う考え方を示しています。
「送料・サービス料0円」を、ネットワークを作るための入口にする。
Rocket Nowはサブスク不要で送料・サービス料0円を前面に出し、2026年6月に累計700万DL、8月には46都道府県・420都市まで拡大。GOとの相互送客、ローソン、加盟店広告など利用・供給・収益化のレイヤーを同時に追加しています。
03 / BATTLEFIELD
「どこで勝つか」を図にすると、
3社の違いが見える。
下図は公開情報をもとにした編集部の概念整理で、実測スコアではありません。横軸を「消費者価格の攻め」、縦軸を「複数サービスを束ねるエコシステム力」として置いています。
STRATEGY MAP
← 価格を持続可能性重視 ───── 消費者価格を強く攻める →
単一用途 ←── エコシステム統合 ──→ 複数用途
※位置は公開施策を比較するための概念図。市場シェアや利益率を示すものではありません。
| 戦場 | Uber Eats | 出前館 | Rocket Now |
|---|---|---|---|
| 価格 | 会員価値 Uber One+店頭同価格 | 攻め お店価格+送料無料 | 最も攻め 送料・サービス料0円 |
| 利用頻度 | 配車・食・Courier横断 | リピート施策・LYP | 無料+GO相互送客 |
| 供給拡大 | PPP / Uber Direct / 小売 | シェアリングデリバリー | 全国420都市へ急拡大 |
| 選択体験 | 「何でも届く」方向 | 「デリバリーの名店」 | Google / 食べログ評価連携 |
| 収益化 | 会員・取引・物流を束ねる | 注文総量とユニットエコノミクス | 発展中 加盟店広告を追加 |
04 / UBER EATS
Uberの強さは、
「Eatsだけで回収しなくていい」こと。
2026年のUber Oneは、Uber Eatsだけの割引会員ではありません。配車、プレミアム乗車、Courier、家族共有、海外利用まで拡張されました。つまり、獲得した1人のユーザーから複数の利用機会を作れます。
Uberの複利ループ
単一サービスのCACではなく、「1ユーザー × 複数サービス × 継続会員」でLTVを作る構造と考えると、価格施策の意味が変わります。
- FACT
- Uber Eatsは2026年3月、「3A戦略」を示し、全国約1万8千店舗で「お店と同じ価格」を開始。日本事業は2023〜2025年に3年連続黒字、2026年1月に過去最高売上と発表しています。
- ANALYSIS
- 価格低下は単なる防衛策ではなく、Uber Oneや配車へのクロスユースを増やすための入口として機能し得ます。
- HYPOTHESIS
- 日本での長期的な強みは「飲食デリバリーのシェア」単体より、オンデマンド移動・配送ネットワークを共通資産として使えることにある可能性があります。
05 / DEMAE-CAN
出前館は、
「守る」のではなく再び取りにいっている。
出前館の2026年施策は、収益優先の縮小均衡ではありません。IRでは、市場拡大とNo.1を目指し、注文頻度を増やすための価格施策・会員施策を明示しています。
2026.03
10,000店舗超から開始。送料体系もサービス料+送料へ変更。
2026.04
「お店価格」参加前との比較として会社発表。
2026.06
LINEヤフー経済圏との連携を強化。
2026.07
レビューだけでなく、キャンセル率やドライバー待機時間も評価。
2026.08
価格だけでなく「時間価値」をメッセージに。
- FACT
- 第1四半期IRでは「ユーザー数・注文頻度増加」と「1件あたり利益減少より利益総額の増大」を並べ、オーダー増とユニットエコノミクスの両立を掲げています。
- ANALYSIS
- これは「赤字だから節約する」戦略ではなく、価格障壁を下げて市場の再拡大局面に賭ける攻めの再投資と読めます。
- HYPOTHESIS
- Rocket Nowの価格攻勢に対し、「国内の既存加盟店・配達網・LY経済圏」を使って注文密度を先に高めることが防衛と成長の両方になる可能性があります。
06 / ROCKET NOW
Rocket Nowは、
「無料の会社」では終わらない可能性がある。
注目すべきは0円そのものより、その後に追加されているレイヤーです。利用者、エリア、他サービスとの送客、コンビニ供給、加盟店向け広告。順序立てて見ると、典型的な“wedge → density → monetization”の形が見えます。
01 WEDGE
02 SCALE
03 ECOSYSTEM
04 MONETIZATION
- FACT
- Rocket Nowは送料・サービス料0円を掲げ、2026年6月に累計700万DL、8月に46都道府県・420都市へ拡大。GOとの相互プログラム、ローソン店内調理品の配送、加盟店向け広告を展開しています。
- ANALYSIS
- 低価格によるユーザー獲得だけでなく、利用頻度・供給カテゴリ・広告収益を同時に追加していることが重要です。
- HYPOTHESIS
- 消費者側の手数料を抑えた状態をどこまで維持できるかは不明ですが、先に密度を作り、加盟店広告など別レイヤーで収益化余地を広げる戦略である可能性があります。
07 / WIN CONDITION
では、勝敗は何で決まるのか。
この市場で重要なのは「一番安いサービス」を予測することではありません。安さで獲得したユーザーを、十分な注文密度と収益性へ変換できるかです。
どの条件が重要だと思う?
ただしクーポンや送料無料が止まった瞬間に離脱するなら、競争優位にはなりません。価格施策が注文頻度と地域密度へ転換されるかが次の論点です。
RAXUS VIEW / EDITORIAL TAKEAWAY
勝者は「安い会社」ではなく、
安さを複利に変えられる会社。
Uberはマルチサービス、出前館は国内密度とLY経済圏、Rocket Nowは価格破壊と急速な供給拡大。それぞれの施策は、最終的に「1回の注文を次の注文へどう変えるか」という同じ問いに収束します。


