EDAは、半導体の回路や配置を設計・検証するためのソフトウェアだ。両社はOpenAIの先端モデルとSynopsysのツール、設計の専門知識を組み合わせる。OpenAIは専用モデルの開発に向けて、SynopsysのEDAツールをライセンスする。
ツールを操作し、結果を読んで修正する
共同発表では、汎用モデルをEDAに接続する既存の方式から、ツールを熟練設計者のように操作する専用モデルへ進める方針を示した。モデルにツールの使い方と出力の解釈を学習させ、設計の改善を繰り返せるようにする。
開発する仕組みでは、エンジニアが消費電力・性能・面積を指すPPAの改善や、タイミング・検証の条件を満たす目標を委任する。エージェントがツールを動かし、結果を読み、設計を変えて再実行する。検証した結果はエンジニアが確認する。
- 01 エンジニア
目標を委任
PPAやタイミング、検証の目標を指定
- 02 エージェント
EDAを実行
設計ツールを操作し、結果を解釈
- 03 エージェント
変更・反復
設計を修正してEDAで再検証
- 04 エンジニア
結果を確認
検証した結果をレビュー
9月30日の共同発表が示す開発方針。変更後はEDAの実行と結果の解釈を繰り返す。製造済みのチップの工程を示す図ではない。
最終確認は物理に基づくEDAで
SynopsysのInvestor Day資料は、AIの推論や計画に、物理法則に基づくEDAの実行・検証を組み合わせる構図を示す。EDA側の特徴として、半導体の製造会社が認証したsign-off、つまり製造に向けた最終確認を挙げている。
今回の発表は共同開発と顧客との初期協業の報告だ。確認した共同発表とInvestor Day資料は、GPT-Synopsysで設計したチップの製造完了や量産実績を示していない。
訓練時のツール契約と利用時の収益分配
両社の契約には収益分配と共同での販売活動が含まれる。Investor Day資料では、先端モデルの訓練時にツールのサブスクリプション、利用時にツール契約または従量課金と収益分配を置く。確認した資料では、契約額や分配率、成果を測る算式は示していない。
訓練先端モデル
- ツール
- サブスクリプション
- 分配
- 記載なし
利用先端モデル
- ツール
- 契約・従量課金
- 分配
- 収益分配
9月30日のInvestor Day資料のPDF70頁をもとに作成。先端モデル事業の収益モデルを示す。共同発表もOpenAIのEDAライセンスと収益分配を明記する。具体的な金額・比率は確認した資料に記載がない。
顧客の設計データは学習に使わない方針
共同サービスはOpenAIがホストする基盤で動かし、Synopsys.aiとAutopilotに統合する計画だ。計算資源、モデル、ライセンスをまとめて提供する。顧客の設計データはモデル学習に使わず、保存時と通信時に暗号化する。保持期間、監査、アクセス権限を設定できる方針も明記した。
確認した共同発表では、対応する具体的なEDA製品名の一覧、一般提供の開始日、料金、ベースモデル名は示していない。現時点で報告されているのは、主要な半導体顧客との初期の技術協業までだ。
出典
- OpenAI・Synopsys共同発表「GPT-Synopsys」2026年9月30日発表。Synopsysの公式Newsroomに掲載。複数年契約、EDAライセンス、収益分配、モデルによるツール操作・結果の解釈・反復、エンジニアの確認、提供基盤と顧客データ保護方針を確認。一般提供日、料金、具体的なEDA製品一覧とベースモデル名は記載がない。2026年10月1日確認。
- Synopsys「2026 Investor Day」資料2026年9月30日の公式資料。PDFの物理ページ70頁で訓練・利用時の収益モデル、71〜72頁でGPT-Synopsysと顧客との初期協業、73頁で物理に基づくEDAと製造向け最終確認を確認。金額・分配率・成果算式や製造済みのチップの実績は示していない。2026年10月1日確認。
出典の確認日 2026.10.01