三菱電機は2026年10月21日、ヒューマノイドロボットとCNC(コンピュータ数値制御)工作機械がフィジカルAIを介して連携する加工システムを開発したと発表しました。対象とするのは、段取り、清掃、完成品の取り出し、搬送、検査、トラブル対応といった、工作機械の周辺でオペレーターが担ってきた作業です。これらをヒューマノイドに置き換え、加工現場の省人化につなげる狙いを示しています。
システムは3要素で構成されます。1つ目は、オペレーターの自然言語の指示を受けて加工タスクを自動生成し、工作機械とヒューマノイドに作業を振り分けて管理するAI加工タスクプランナーです。2つ目は、フィジカルAIを搭載し、自然言語で操作情報をやり取りしながらロボットと連携して加工を実行するCNC工作機械。3つ目は一般的なヒューマノイドロボットで、特定メーカーの機種には限らないとしています。プランナーとCNCには、同社のAI技術ブランドMaisartを使って新たに開発したフィジカルAIを搭載しました。
- 01 オペレーター
自然言語で指示
簡単な作業指示を入力する。
- 02 AI加工タスクプランナー
タスク生成と振り分け
指示から加工タスクを自動生成し、工作機械とヒューマノイドに割り当てて管理する。Maisartベース。
- 03 CNC工作機械
自然言語で連携して加工
フィジカルAIを搭載し、操作情報を自然言語でやり取りしてロボットと協調する。Maisartベース。
- 04 汎用ヒューマノイド
周辺作業を実行
段取り、清掃、取り出し、搬送、検査、トラブル対応などを担う。
出典は三菱電機のニュースリリース(2026年10月21日付)のシステム構成の記述に基づく。展示会で公開される実システムの画面ではない。
背景として三菱電機は、人の身体を前提とした段取りや清掃を従来の産業用ロボットで代替すると、生産ライン側の設備投資が必要になることを挙げます。ヒューマノイドであれば後付けに向く一方、CNCと接続して状況を共有し連携するには、ロボットごとに通信機能と制御シーケンスを個別に開発する負担が導入の妨げでした。今回のシステムは、ロボットごとの高度なシステムインテグレーションを行わずに、指示だけで無人の加工の実行と管理をする構えです。
従来の産業用ロボット
- 連携の作り方
- ロボットごとに通信機能と制御シーケンスを開発
- 導入時の負担
- 生産ラインへの設備投資と個別のシステムインテグレーションが必要
今回のシステム
- 連携の作り方
- 自然言語での操作情報のやり取り(フィジカルAI搭載CNC)
- 導入時の負担
- ロボットごとの個別統合なし。オペレーターの簡単な指示で実行・管理
出典は三菱電機のニュースリリース(2026年10月21日付)の背景と効果の記述。会社による説明で、第三者測定ではない。
「業界初」の表現は、2026年10月21日時点の同社調査によるもので、対象は「ヒューマノイドロボット連携を前提としたNCシステム」に限られます。一般的な工作機械の自動化全体の首位とは異なる範囲です。デモは2026年10月26日から東京ビッグサイトで開かれる工作機械見本市JIMTOF2026で展示されます。
今回の発表は研究開発段階で、一般販売の時期、価格、対応するCNCとヒューマノイドの機種一覧、既存設備への後付け条件は示されていません。段取り時間の短縮や稼働率といった定量的な効果の数値もありません。自然言語での情報交換は連携の入口であり、安全制御をAIが単独で担うという記述は発表にありません。同社は自律型の無人化工場を目指すと述べていますが、これは目標の提示で、現時点の実績ではありません。
出典
- 業界初、ヒューマノイドとCNC工作機械が連携する加工システムを開発(三菱電機)2026-10-21付(RD No.2623)。システムの3要素、Maisart搭載、対象作業(段取り・清掃・取り出し・搬送・検査・トラブル対応)、無人加工の実行・管理、JIMTOF2026(10月26日から東京ビッグサイト)でのデモ、業界初の注記(当社調べ、ヒューマノイド連携を前提としたNCシステム、2026-10-21現在)、無人化工場の目標を本文で確認。2026-10-25確認。
- Mitsubishi Electric Develops Industry's First Machining System in Which Humanoid Robots Collaborate with CNC Machine Tools(三菱電機、英語版)2026-10-21付(FOR IMMEDIATE RELEASE No. 3946)。日本語版と同一内容の英語版で、3要素、対象作業、JIMTOF 2026の日程・会場、注釈1の「業界初」の範囲を照合。2026-10-25確認。
出典の確認日 2026.10.25