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BUSINESS REVIEW #036 · 3D INVESTMENT × TOHO HD

24.66%から27.02%へ
東京地裁の仮差止めが
問う防衛策の境界

3D側が計画したのは、東邦HD株を市場内で20%台後半まで買い増すことだった。株主総会で承認された新株予約権無償割当ては、東京地裁の仮差止めでいったん止まった。確定した事実と、これから確認すべき争点を分けて読む。

公開日 · ACTIVIST / DEFENSE | 2026.09.18 公表 | 市場内追加取得計画・仮差止め

夕暮れの路地を走るフードデリバリーの配達員
ACTIVIST / DEFENSEISSUE 036

01 / FACT

3Dは過半数買収ではなく、
27.02%までの市場内取得を計画

今回の計画を「東邦HDの買収」と呼ぶと、取引の性質を取り違える。

争点最大1,537,200株を市場内で追加取得する計画

非支配の買い増し

判断東京地裁が新株予約権無償割当てを仮に差し止め

承認後も仮差止め

次の焦点保全異議の予定と、9月18日以降の実際の保有比率

異議と取得の進捗

3D Investment Partners Pte. Ltd.は、東邦HD株について、同社が投資一任運用サービスを提供するファンドの受託者を法的な取得主体とする追加取得計画を示した。2026年1月16日付の説明書では、取得予定上限を1,537,200株、追加取得後の議決権割合上限を27%と説明。東邦HDの2026年4月28日開示では、3D側の議決権割合は24.66%、追加取得後は27.02%になる予定と整理されている。取得方法は市場内取引で、固定の取得対価は設定されていない。 (S2)(S3)(S5)

したがって、ここで確認できるのは、20%台後半までの買い増し計画であって、過半数支配や子会社化を予定する取引ではない。2026年9月18日時点で、27.02%までの取得が完了したとも扱わない。

FACT
東邦ホールディングスの2026年9月18日開示によれば、東京地裁は、2026年6月26日定時株主総会の第4号議案に基づく新株予約権無償割当てを仮に差し止める決定をした。東邦HDは保全異議を申し立てる予定である。 (S1)
ANALYSIS
本件は、過半数買収ではない大株主の買い増しに対し、会社が買収防衛策を使い、裁判所がその発動を仮に止めた案件である。したがって、買収比率だけでなく、株主構成や総会での実効的な影響力まで含めて防衛策の必要性・相当性を考える教材と読める。これは本稿の分析であり、裁判所が一般論として示した判断ではない。
HYPOTHESIS
今回の仮差止めが保全異議後も維持される場合、20%台後半までの買い増しに対する有事導入型の防衛策について、取得上限、情報提供、株主意思確認、対抗措置の必要性・相当性をより細かく設計する動きにつながる可能性がある。ただし、現時点は仮処分段階であり、一般法理として断定しない。

2026年9月18日時点の公開情報。以降の章は、開示事実を土台にしたRAXUSの分析・仮説です。根拠資料を見る ↓

02 / TIMELINE

意思決定の流れを追う。

2026.01.16

3D側が大規模買付行為等説明書を提出

3D側は、投資運用するファンドの受託者による東邦HD株の追加取得について、市場内取引を予定すると説明した。取得予定上限は1,537,200株で、提出時点の保有株式16,023,534株から最大17,560,700株までの買い増しを想定し、取得後の議決権割合上限を27%と説明した。 (S2)(S5)

2026.04.28

東邦HDが24.66%から27.02%への計画を開示

東邦HDの適時開示では、同日時点の3D側の議決権割合を24.66%、追加取得後の予定を27.02%と整理した。東邦HD取締役会は大規模買付行為等に反対し、対抗措置の発動について株主意思を確認する方針を示した。 (S3)

2026.06.26

株主総会で新株予約権無償割当てを承認

第78回定時株主総会の決議通知によれば、第4号議案「新株予約権無償割当ての件」は原案どおり承認可決された。Reutersは支持率を54.7%と報じているが、本文では一次資料の「原案どおり承認可決」を基礎事実として扱う。 (S4)(S7)

2026.09.18

東京地裁が無償割当てを仮に差し止め

東邦HDは、東京地裁が新株予約権無償割当てを仮に差し止める決定をしたと開示した。同開示では、3D側が17,560,700株、議決権割合27.02%を超えて取得しない旨を審尋期日に誓約したことも説明され、東邦HDは保全異議を申し立てる予定とした。 (S1)

03 / FACT

株主総会で承認された防衛策を、
東京地裁が仮に差し止め

株主総会の承認があっても、対抗措置をめぐる司法審査が終わるわけではなかった。

東邦HDは、3D側の買い増しに反対し、新株予約権無償割当てを対抗措置として進めた。2026年6月26日の定時株主総会では、第4号議案が原案どおり承認可決された。しかし、東邦HDの2026年9月18日開示によると、東京地裁は、同議案に基づく新株予約権無償割当てを仮に差し止める決定をした。 (S1)(S4)

この決定は、株主総会の承認が違法だった、または買収防衛策一般が違法になったという意味ではない。決定理由の全文は9月18日の会社開示に掲載されておらず、東邦HDは保全異議を申し立てる予定である。Reutersは株主総会で54.7%の支持があったと報じているが、これは二次報道であり、一次資料から確認できる事実は「原案どおり承認可決」である。 (S1)(S4)(S7)

RAXUS VIEW / EDITORIAL TAKEAWAY

仮処分は最終確定判決ではない。
次の法的手続と決定理由を切り分けて追う。

株主総会の決議、仮差止め、保全異議はそれぞれ別の手続として確認する。

04 / ANALYSIS

27%は法定支配ではなく、
影響力をめぐる境界線

27.02%という数字だけから、法的な拒否権や支配権を導くことはできない。

3D側は説明資料で、取得上限を、東邦HDが当時主張していた「実質的な拒否権」水準27.17%を下回る27%に設定したと説明している。これは3D側の主張であり、中立的な法的評価ではない。一方、東邦HDは、3D側の議決権割合の上昇が経営への影響力を高め、中長期的な企業価値や株主共同の利益を毀損するおそれがあると懸念を示している。 (S1)(S6)

上場会社で20%台の大株主が持つ実効的な影響力は、株主構成、実際の総会出席率、安定株主の比率、議案の内容によって変わる。だから本件の分析軸は、「27%で支配か」という二択ではなく、支配権取得を前提としない買い増しに対して、どの時点で会社の防衛措置が必要か、その措置が相当か、という境界線にある。

RAXUS VIEW / EDITORIAL TAKEAWAY

27.02%を法定の拒否権・支配権と断定せず、
会社側と3D側の主張を分けて読む。

比率の数字と、当事者がその数字に与えた意味は別々に扱う。

05 / HYPOTHESIS

次に確認すべきは、
保全異議と実際の買い増し

この案件の結論は、2026年9月18日の仮差止めだけでは確定しない。

まず、東邦HDが予定する保全異議の申立てと、その後の裁判所の判断を確認する必要がある。次に、3D側の大量保有報告書の変更から、9月18日以降に実際の追加取得が始まったか、最終的な株式数・議決権割合がどうなったかを確認する。今回のPacketで確認できる範囲では、取得開始日、完了日、総取得対価、平均取得単価、東京地裁の決定理由全文、3Dの具体的なガバナンス要求はいずれも確定していない。 (S1)

仮説として、仮差止めが維持されれば、アクティビストの買い増しに対する防衛策では、株主総会に諮ったかどうかだけでなく、買付者の目的、取得上限、情報提供の十分性、対抗措置の必要性・相当性を説明可能な形で積み上げる重要性が増す可能性がある。ただし、保全異議等が予定されている係争中の案件であり、一般的な結論にはしない。

RAXUS VIEW / EDITORIAL TAKEAWAY

異議・決定理由・大量保有報告書の続報が出るまで、
今回の仮差止めを一般法理として広げない。

係争中の手続と実際の保有状況が更新されるまで、結論は保留する。

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