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BUSINESS REVIEW #031 · LEDAX × HARIKA

「ハリカを6.7億円で買う」
のではない。
第二会社方式で、
事業だけを新しい箱へ移す。

2026年9月16日、レダックスはギフト専門店ハリカの事業を承継する新会社の全株式を取得するスポンサー契約を結んだ。買うのは旧ハリカではなく、吸収分割で事業を受け取る別法人。何が移り、何が旧会社に残るのかを、開示された事実と、本稿の分析・仮説を分けて読む。

公開日 · 2026.09.21 · RETAIL M&A REVIEW · スポンサー契約段階(未クロージング) · FACT / ANALYSIS / HYPOTHESIS

事業を、新しい箱へ移す。を表現した編集イメージ(AI生成)
RETAIL / M&A / AI EDITORIAL IMAGEISSUE 031

01 / OVERVIEW

何が発表されたか。

2026年9月16日、レダックスは、ハリカの事業を受け継ぐ新会社の株式を取得するスポンサー契約を結んだと開示した。

STATUS2026-09-16にスポンサー契約を締結。株式譲渡契約は2026-10-31予定で未締結、株式取得は2027-01-05予定。買収は完了していない。 (S1)

スポンサー契約段階

PRICE承継会社の発行済株式1株(取得後100%)の取得価額。旧ハリカ全体の価格ではない。 (S1)

670百万円

SCHEME事業・必要な資産・契約・雇用を吸収分割で承継会社へ移し、金融機関借入金等は旧会社に残す予定。 (S1)

第二会社方式

SPLIT吸収分割の効力発生日。必要な許認可の取得は2026年11〜12月を予定。 (S1)

2027.01.01予定

DEAL PROGRESS

旧会社 → 事業移転 → 承継会社 → 株式取得 → レダックス

  1. 01
    旧会社(ハリカ)

    旧会社が承継会社を100%出資で設立。旧会社と承継会社は別法人である。(S1)

    確認済み|旧法人
  2. 02
    事業・必要資産・契約・雇用を移す

    2027年1月1日予定。吸収分割で旧会社から承継会社へ移す。金融機関借入金等は旧会社に残る予定で、債務が消滅することを意味しない。(S1)

    予定|未実行
  3. 03
    承継会社(新法人)

    2026年7月31日に設立済み。吸収分割後の事業を担う、旧会社とは別の法人である。(S1)

    設立済み|移転前
  4. 04
    承継会社の株式取得 → レダックス

    2027年1月5日予定。発行済株式1株を670百万円で取得し、取得後はレダックスが100%株主となる予定である。(S1)

    予定|取得後100%保有

670百万円は承継会社株式の取得価額で、旧会社の企業価値ではない。旧会社に残る金融機関借入金等が消滅することも意味しない。 (S1)

スポンサー契約から株式取得までの履歴(7件)

2026.07.31

承継会社を設立

旧ハリカが100%出資で設立した新法人。現時点では旧会社と同じ「株式会社ハリカ」の商号で、別法人。旧会社は吸収分割後に商号変更予定。 (S1)

2026.09.16

レダックスがスポンサー契約を締結・開示

承継会社の全株式取得(連結子会社化)に向けた契約。同日、公式ニュースリリースも公表。 (S1) (S2)

2026.09.17

補足説明を掲載

レダックスのIRニュースに「株式会社ハリカの事業承継に関する補足説明」が掲載されたことを確認。本稿では内容を引用していない。 (S3)

2026.10.31(予定)

株式譲渡契約

執筆時点(2026-09-21)では未締結。前提条件次第で日程・条件は変わり得る。 (S1)

2026年11〜12月(予定)

必要な許認可の取得

個別の許認可の移管条件は開示されていない。 (S1)

2027.01.01(予定)

吸収分割の効力発生

事業・資産・契約・雇用が承継会社へ移る予定日。 (S1)

2027.01.05(予定)

レダックスが株式を取得

取得後は承継会社の100%株主となる予定。ここで初めて連結子会社化が実現する。 (S1)

レダックス(東証スタンダード7602)の開示によれば、契約の対象は「株式会社ハリカ」そのものではなく、ハリカの事業を吸収分割で承継する会社である。取得するのは承継会社の発行済株式1株で、取得価額は670百万円、取得後は100%を保有する。 (S1)

ハリカは会社沿革では1945年創業のギフト専門店とされる。

開示によれば全国に約100店舗の直営・FC網、約450社の法人取引先、大型の物流拠点を持つ。2025年12月期(旧会社)の売上高は5,101百万円、営業損失は13百万円、当期純損失は57百万円だった。 (S1)

現在地はスポンサー契約の締結までだ。株式譲渡契約は2026年10月31日の予定、株式の取得は2027年1月5日の予定にとどまる。本稿執筆時点(2026-09-21)で、買収は完了していない。 (S1)

FACT
レダックスは2026年9月16日、ハリカの事業を承継する会社の全株式取得(連結子会社化)に向けたスポンサー契約の締結を開示した。ハリカの全事業と事業継続に必要な資産・契約・雇用を吸収分割で承継会社へ移し、金融機関借入金等は旧会社に残す予定。取得価額は670百万円で、取得後の持分は100%。株式譲渡契約は2026年10月31日、吸収分割の効力発生は2027年1月1日、株式取得は2027年1月5日をそれぞれ予定している。 (S1)
ANALYSIS
この設計は、レダックスが「ハリカという法人」を丸ごと買うのではなく、「ハリカの事業」を新しい法人に切り出してから、その法人の株式を買うものと読める。事業の価値と、旧会社側の財務負担を切り分ける再生型M&Aの構造である。ただし「再生型」という整理は本稿の解釈で、会社の公式表現ではない。
HYPOTHESIS
後継者の不在と財務負担が同時にある老舗企業では、事業だけを承継する設計にすると、買い手は事業の収益力で価格を評価しやすくなり、売り手側は店舗・取引先・雇用の継続を確保しやすくなる可能性がある。ただし旧会社の借入金がどう処理されるかは開示されておらず、この仮説は検証できない。

2026年9月21日時点の公開情報。以降の章は、開示事実を土台にしたRAXUSの分析・仮説です。根拠資料を見る ↓

03 / STRUCTURE

何が新会社へ移り、
何が旧会社に残るのか。

第二会社方式は、事業を新しい法人に移し、その法人を買い手が取得する設計である。旧法人は残る。

開示された設計は次のとおり。旧ハリカが100%出資で承継会社を設立し(2026-07-31設立済)、全事業と、事業継続に必要な資産・契約・雇用を吸収分割で承継会社へ移す。金融機関借入金等は旧会社に残す予定で、そのうえでレダックスが承継会社の株式を取得する。 (S1) (S4)

旧会社と承継会社は、現時点では同じ「株式会社ハリカ」の商号だが別法人である。旧会社は吸収分割後に商号を変更する予定とされる。記事や検索結果で「ハリカ」と書かれたとき、どちらの法人を指すのかは注意して読む必要がある。

買い手にとってこの設計の意味は、取得対象の中身を事業ベースで選べる点にある。店舗・取引先・雇用・物流といった「事業の動く部分」を承継会社に集め、旧会社側の財務負担は別に残す。ここでの「切り分け」は本稿の整理で、レダックスが公式にそう説明しているわけではない。

注意: 借入金等が旧会社に残ることは、債務が「なくなる」ことを意味しない。旧会社に残る金融機関借入金等の具体額、債権者との処理条件、最終的な処理方法は開示されていない。本稿は、その処理について推測を書かない。 (S1)

RAXUS VIEW / EDITORIAL TAKEAWAY

買うのは「法人」ではなく、
「事業を入れた箱」。

第二会社方式では、価格の対象と債務の所在が別の法人に分かれる。ニュースの数字を読むときは、その数字がどの法人の何を指すのかを最初に確認する。

04 / PRICE

670百万円は、
何の値段か。

670百万円は、承継会社の株式の取得価額である。旧ハリカの企業価値でも、純資産でもない。

開示上、670百万円は承継会社の発行済株式1株の取得価額で、取得後の持分は100%である。「ハリカを6.7億円で買収」という見出しは短くて読みやすいが、取得対象が旧会社ではなく承継会社であることを落としている。 (S1)

純資産の数字も二つあり、同じ意味ではない。一つは旧会社の2025年12月期の純資産1,370百万円。もう一つは、承継される事業について2026年2月末時点の概算純資産として二次情報が整理する約936百万円である。時点も対象も異なり、片方をもう片方の代わりに使うことはできない。 (S1) (S4)

負ののれんについては、レダックスは、承継する資産・負債の時価評価純額が取得価額を上回ると見込み、負ののれん発生益を見込むと開示している。ただし金額は精査中で、最終額は時価評価・取得原価配分の後に確定する。 (S1)

670百万円と純資産の数字を並べて差額を計算したくなるが、その差額をそのまま負ののれん額とみなすことはできない。承継対象の資産・負債の最終的な時価評価額は開示されておらず、二次情報の約936百万円が時価評価前後のどちらの数字なのかも一次資料では確認できていない。本稿は差額を算出しない。

05 / INTENT

なぜ、中古車グループが
ギフト会社の事業を買うのか。

会社が示す成長構想は、ギフト事業そのものより、顧客網・物流・金融をつなぐ点にある。

レダックスは、子会社の経営管理やM&Aアドバイザリー、投資を行う持株・事業管理会社で、グループには中古車のカーチス、物販・ギフトのカーチスキャピタルマネージメント、物流、広告の会社がある。公式ニュースリリースは、Freedom Holding Corp.との「流通と金融の融合」、カーチスの約2万1,000社の法人顧客網、レダグループの販売・物流・商品・広告基盤との連携を成長構想として挙げている。 (S2)

ハリカの約450社の法人取引先と店舗網、物流拠点は、カーチスの法人顧客網や金融・決済の取り組みとつなぎやすい資産に見える。商品カテゴリを広げる買収というより、法人顧客への販路と接点を広げる買収として読むと、この案件の位置づけを整理しやすい。ただし、どのシナジーを、いつ、どれだけ見込むかの数値は開示されていない。

06 / PLAN

計画値と構想を、
実績と混ぜない。

開示された数字の多くは、計画値か、将来の目標・選択肢である。

会社が示した買収後の事業計画(2027年1〜12月)は、売上高5,019百万円、営業利益78百万円、経常利益105百万円。これは会社の計画値で、実績でも保証でもない。前提となる買収も、まだ完了していない。 (S1)

中長期の構想として、会社は店舗網を約100店舗から1,000店舗規模へ拡大する目標を掲げ、承継会社の単独IPOも「選択肢の一つ」として検討するとしている。達成時期や実現は保証されておらず、確定した計画ではない。 (S1)

構想の成否を左右するのは、店舗数そのものより、既存の約100店舗の採算をどこまで改善できるかだと考えられる。仕入条件、販管費、法人販路、デジタル化、金融連携のどこで改善が出るのかは、開示からは読み取れない。この仮説は、2027年以降の実績が出るまで検証できない。

07 / UNDISCLOSED

開示されていないこと、
次に確認すること。

記事化の時点で未確定・非開示の項目を、先に書いておく。

未開示・未確定の項目は次のとおり。承継対象の資産・負債の最終時価評価額、負ののれん発生益の最終額、旧会社に残る金融機関借入金等の具体額と最終処理方法、個別の許認可の移管条件、買収後の出店ペースとIPOの時期・条件、アドバイザー(一次資料では確認できず)。 (S1)

今後の確認点は、2026年10月31日前後の株式譲渡契約の締結開示、許認可の取得状況、2027年1月1日の吸収分割の効力発生と1月5日の株式取得、そしてPPA(取得原価配分)と負ののれんの確定額、旧会社の債務処理に関する公表である。いずれかの日程や条件が変われば、本稿の記述も更新が必要になる。

RAXUS VIEW / EDITORIAL TAKEAWAY

この案件で確定しているのは、
「設計」と「予定」まで。

第二会社方式の枠組みと日程は開示されているが、旧会社の借入金の処理、負ののれんの金額、1,000店舗やIPOの実現は、いずれも未確定または非開示である。

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