01 / OVERVIEW
何が決まり、
何がまだ決まっていないか。
2026年10月15日、イオレはWOODMAN株式会社の完全子会社化に向けた株式交換契約を締結した。
取引概要
30秒で読む
契約締結・効力発生前2026年10月21日時点
イオレ(東証グロース・2334)は2026年10月15日、WOODMAN株式会社を完全子会社とする株式交換契約を締結した。効力発生日は2026年11月30日を予定する。 (S1) (S2)
対価はイオレ普通株式の新株発行3,436,428株(予定)。WOODMAN株式1株に対する交換比率は5,727.38株で、発行済株式総数の7.97%に当たる。現金の取得価額は存在しない。 (S2)
2026年10月21日時点は契約締結後・効力発生前。イオレの臨時株主総会(11月27日予定)とWOODMANの臨時株主総会(11月中予定)の承認を前提に進む。 (S2)
DEAL PROGRESS
契約締結から連結取り込みまで
- 01株式交換契約を締結
両社の取締役会決議と同日付。2026年10月15日。 (S1) (S2)
完了 - 02臨時株主総会の承認
イオレは2026年11月27日予定、WOODMANは11月中予定。 (S2)
11/27・11月中予定 - 03効力発生日
2026年11月30日予定。この日にWOODMANが連結子会社となる。 (S2)
11/30予定 - 04連結業績への取り込み
2026年12月開始予定。のれん等の会計処理は未定。 (S2)
12月開始予定
各段階は適時開示原文の予定値に基づく。効力発生の完了は、2026年10月21日時点で確認できない。 (S2)
覚書から契約締結までの経緯
2026.01.30
イオレ・WOODMAN・デジタルダイナミック・SuperX AI Industriesの4社間で締結。この時点で両社間の資本関係は無い。 (S2)
2026.07.06
西日本地区の100MW級大規模AIデータセンター開発と電力インフラ整備を共同推進する。 (S2)
2026.09.16
AIデータセンター関連の企業関係者160名超が参加した。 (S2)
2026.10.15
両社取締役会が同日決議。交換比率と交付予定株数を適時開示した。 (S1) (S2)
2026.10.21
契約締結後・効力発生前。臨時株主総会の承認は前段階にある。 (S2)
2026.11.30(予定)
完全子会社化の予定日。12月から連結業績への取り込みを予定する。 (S2)
イオレは2026年10月15日、取締役会の決議を経てWOODMAN株式会社と株式交換契約を締結した。イオレを株式交換完全親会社、WOODMANを株式交換完全子会社とする。効力発生日は2026年11月30日を予定し、この日付でWOODMANはイオレの連結子会社になる。 (S1) (S2)
契約の実行には、両社の臨時株主総会の承認が要る。イオレは11月27日に臨時株主総会を開催予定で、WOODMANも11月中に承認を予定する。2026年10月21日時点で、承認と効力発生はどちらも前段階にある。本稿はこの理由から、「完全子会社化した」と完了形では書かず、「完全子会社化を予定する」と表記する。 (S2)
決まっているのは契約の内容と日程で、決まっていないのはのれんや業績への定量的影響である。この区別が、この案件を読む最初の線になる。 (S2)
- FACT
- 2026年10月15日、イオレはWOODMAN株式会社を完全子会社とする株式交換契約を締結した。効力発生日は2026年11月30日を予定し、対価は新たに発行するイオレ普通株式3,436,428株(予定)である。2026年10月21日時点で、株主総会の承認は効力発生前の段階にあり、子会社化は完了していない。 (S1) (S2)
- ANALYSIS
- イオレが対価に株式を選んだ理由として同社は、WOODMANの株主を自社株主として残し統合後の企業価値向上への利害を一致させることと、現金流出を抑えて成長投資の資金余力を保つことを挙げる。GPUサーバーの販売から出発した事業が、データセンターの構築と冷却の機能を会社ごと取り込む設計と読める。 (S2)
- HYPOTHESIS
- 覚書から1年近く共同事業を続けてきた2社が同一グループに入れば、案件形成から運用までの意思決定が速まり、複数のデータセンター開発を並行で進められる可能性がある。ただし統合後の実行速度を示す数字は、この時点では開示されていない。 (S2)
2026年10月21日時点の公開情報。以降の章は、開示事実を土台にしたRAXUSの分析・仮説です。根拠資料を見る ↓
02 / PURPOSE
GPUサーバーの販売元が、
DC構築を内側に置く理由。
取引の背景にあるのは、GPUサーバーの調達販売から始まった事業が、データセンターの開発と運用まで踏み込んだことである。
イオレはAI計算レイヤー(AIインフラストラクチャー事業)を中核に、AI実装レイヤーと金融レイヤーを組み合わせる3層統合モデルを掲げる。AIインフラストラクチャー事業は2025年4月の開始以降、GPUサーバーの調達・販売を起点に拡大し、2026年3月期に売上高100億円超を達成した。 (S2)
事業領域は福島県双葉町と鹿児島県薩摩川内市の分散型AIデータセンター開発に広がり、2026年7月には西日本での100MW級大規模データセンター開発についてシンエネルギー開発と基本合意している。2026年秋からは、GPU・データセンター・電力・冷却・ネットワーク・運用基盤を一体で提供するネオクラウド事業を順次開始する予定である。 (S2)
WOODMANとは資本関係の無いまま、2026年1月30日に4社間の戦略的提携覚書を締結し、モジュール型AIデータセンターの協業検討を進めてきた。2026年9月には液浸冷却ソリューションカンファレンスを共同で開催している。 (S2)
開示は、本株式交換の目的を、進行中の連携を資本と経営の両面で一体化し、実行速度と事業規模を高めることだと述べる。液浸冷却を活用するデータセンターではPUE1.2以下が目標で、計算力の供給コストの低減を図るとしている。用地・電力・設計・建設に長期間を要するデータセンター開発で、案件形成から構築・運用までを一体的に進められる体制が、イオレの必要条件になっていたと読める。 (S2)
03 / SCHEME
対価は株式。
交換比率は開示原文の値。
株式交換の設計と、交換比率の算定根拠を適時開示原文に沿って確認する。
交換比率は、WOODMAN株式1株に対してイオレ普通株式5,727.38株。交付する株式数は3,436,428株(予定)で、すべて新株発行で充当する。発行済株式総数43,078,920株(2026年9月30日現在)に対する割合は7.97%、議決権ベースでは7.98%になる。 (S2)
算定は、両社から独立した第三者算定機関であるSakura Accounting合同会社が類似会社比較法で行った。算定値はWOODMANの1株当たり3,081,458〜5,784,705円で、非上場であることを踏まえた30%の非流動性ディスカウントを含み、シナジー効果は含まない。両社の協議により用いた3,333,333円と、イオレ株の基準日である2026年10月14日の終値582円から、交換比率5,727.38倍が導かれる。 (S2)
株式交換のため、この取引に現金の取得価額は存在しない。株式価値の算定値は対価の水準を示す開示事実であって、取引の金額ではない。株式価値算定値と株数から取引額を換算する書き方は、本稿では行わない。 (S2)
原文は、算定根拠となる諸条件に重大な変更が生じた場合、協議と合意により交換比率を変更できると注記する。ここに載せた比率と株数は、臨時株主総会の承認を前提にした現時点の開示値である。 (S2)
04 / COMPANIES
売上の規模が、
近づいている2社。
両社の規模と事業を、開示値のまま並べる。決算期が違うことと、事業単位の数字であることに注意する。
東証グロース・2334
AIインフラストラクチャー事業、AIUI事業、オンチェーン金融事業
- 連結売上高141億円(2026年3月期・連結) (S2)
- 営業利益2.1億円(2026年3月期・連結) (S2)
- AIインフラ事業売上高100億円超(2026年3月期・事業単位) (S2)
- 資本金32億3,253万円(2026年9月30日現在) (S2)
- 事業単位と連結の数値は範囲が異なる
- 福島県双葉町・鹿児島県薩摩川内市で分散型AIデータセンターを開発中 (S2)
非上場
AIサーバー・ストレージ販売・導入支援、モジュール型AIデータセンター開発・構築、DCコンサルティング
- 売上高128億円(2026年9月期・見込) (S2)
- 営業利益3.5億円(2026年9月期・見込) (S2)
- 前年同期売上高23億円(2025年9月期・実績) (S2)
- 従業員数15名(2026年6月現在) (S2)
- 液浸冷却ソリューションIMMERSIAを保有 (S3)
- 発行済株式600株・代表の小野慎二郎氏が98% (S2)
イオレは東証グロース上場の企業で、AI計算・AI実装・金融の3レイヤーを掲げる。2026年3月期連結の売上高は141億円、営業利益は2.1億円、当期純利益は5.3億円の赤字だった。うちAIインフラストラクチャー事業は2026年3月期に売上高100億円超に達した。事業単位の数字と連結の数字は範囲が違い、混同しない。 (S2)
WOODMANは非上場で、AIサーバー・ストレージの販売・導入支援を基盤に、モジュール型AIデータセンターの開発・構築とコンサルティングへ領域を広げた。2026年9月期の売上高は128億円、営業利益は3.5億円の見込みで、前年同期の実績23億円から急拡大している。従業員数は15名だ。 (S2)
売上の規模だけを見ると、WOODMANの年商はイオレの連結売上に迫る。イオレがその規模の会社を、新株発行7.97%の対価で取り込むのが本件の構造である。決算期はイオレが3月、WOODMANが9月で、期間がずれた比較になる点は補正できない。 (S2)
05 / UNDISCLOSED
まだ開示がない項目と、
次の確認点。
効力発生前に確定していない項目と、今後の開示で埋まる予定の項目を分けて置く。
のれんの金額を含む会計処理は未定で、確定次第開示される。本株式交換による連結業績への定量的影響も精査中である。連結への取り込みは2026年12月から予定している。 (S2)
株式交換の実行に伴い、イオレの主要株主に異動が生じる見込みだ。JAIC-Web3ファンドは10.34%から9.57%へ下がり、筆頭株主の地位は維持する。吉田直人氏は10.07%から9.32%になる予定である。 (S2)
WOODMANの株主が受け取る1株未満の端数は金額で支払われ、単元未満株式はイオレに対する買い取り請求の対象になる。手続の細目は開示原文に沿う。 (S2)
次に確認すべき節目は、11月27日予定のイオレ臨時株主総会、11月30日予定の効力発生、12月開始予定の連結取り込み、そしてのれんの開示である。 (S2)
06 / LESSON
資金を残し、
相手の株主を残す統合。
株式交換は、取る対象と取る方法を同時に決める取引である。
イオレは現金を手放さず、WOODMANの株主を自社株主として残したまま、売上規模が迫る事業を取り込む。 (S2)
算定機関がWOODMANの評価に含めなかったのは、2028年9月期以降の事業計画に織り込まれた将来の成長である。この統合の収支がどう出るかは、取り込んだ後の実行で示すしかない。 (S2)
1年近く並行してきたデータセンターの案件を、統合後に1つの事業計画としてどれだけ速く動かせるか。その答えは、効力発生日の後の開示が最初に示す。


