01 / OVERVIEW
何が完了したのか。
NYC株式会社は有限会社御庭工房の全株式を2026年10月1日付で取得した。公表は10月22日、取得完了から3週間後だった。
2026.10.22
全株式・100%
自己資金
NYC株式会社の本社は東京都中央区、代表取締役社長は中塚庸仁。公表した内容は、御庭工房の全株式を自己資金で取得したというものだ。取得価額と売却株主は公表されていない。 (S1)
株式の受け渡し自体は10月1日に完了している。10月22日はその公表日であり、この日に取引が動いたわけではない。両日付の区別は、この後の確認点を追うときの基準になる。 (S1)
公表資料は、この取得を御庭工房の事業承継と経営体制の強化として位置づける。あわせて、外構・舗装・土木の各分野で資本業務提携とM&Aによるロールアップを進める方針も示した。 (S1)
- FACT
- 2026年10月1日、NYC株式会社は有限会社御庭工房(静岡県藤枝市)の全株式の取得を完了した。公表は10月22日。取得価額・売却株主・御庭工房の業績は公表されていない。取得資金はNYCの自己資金だと同社は説明する。目的には事業承継と、外構・舗装・土木分野でのロールアップ推進が挙がる。 (S1)
- ANALYSIS
- 会社の法人格と契約を保ったまま株主だけを交代させる株式取得を、事業承継の受け皿として使う構造と読める。NYCの「累計40社」は投資先の累計であり、買収件数とは区別する。この数字から取引の規模や同業の比率を割り出すことはできない。 (S1)
- HYPOTHESIS
- 既存の投資先と御庭工房の間で施工網や人材、資材調達の共通化が進む可能性はある。ただし実施も成果も未確認で、今回の公表からは読み取れない。
2026年10月23日時点の公開情報。以降の章は、開示事実を土台にしたRAXUSの分析・仮説です。根拠資料を見る ↓
02 / TIMELINE
意思決定の流れを追う。
2003年6月
静岡県藤枝市を拠点に外構・造園などの施工を手がける会社として設立された。売上や従業員数は公表されていない。 (S1)
2026年10月1日
株式の受け渡しがこの日付で完了した。取得価額と売却株主は非開示である。 (S1)
2026年10月22日
事業承継とロールアップ推進の方針、自己資金による取得であることを明記した。公表は取得完了から3週間後だった。 (S1)
2026年10月23日
御庭工房の業績と資格は、この時点で未公表である。既存投資先とのシナジー、取得後の経営体制とPMIの状況も開かれていない。 (S1)
03 / SCHEME
買い取ったのは会社の株式。
取得の形式は株式の取得で、法人格を保ったまま株主を交代させる。事業を資産単位で売り渡す事業譲渡とは、承継の単位が異なる。
一般的な株式取得の構造では、御庭工房の法人格が保たれる。会社名や建設業の許認可、取引先との契約は会社に残る。入れ替わるのは株主であり、旧株主からNYCへ株式が移る。
事業譲渡の場合、資産や負債、契約を一つずつ買い手へ移す手続きが要る。承継の単位が会社ごとか資産ごとかで、手続きと事業の連続性への影響が変わる。本件の公表資料は株式の取得のみを扱い、事業の一部の切り出しには触れていない。 (S1)
取得資金はNYCの自己資金だと同社は説明する。投資ファンドの資金を使う買収と異なり、資金の出所が同社自身にある。調達の条件など詳細は公表されていない。 (S1)
04 / BUYER
資金の出所は自己資金。
NYCは中小企業への投資と経営支援を業とする会社で、資金の出所を自己資金と説明している。
公表資料は、優良中小企業への投資と経営支援をNYCの事業の軸に挙げる。投資ファンドの資金を用いず、自己資金で投資すると同社は説明する。資金の出所を自社に置くことが、同社の手法の特徴だと公表資料は整理している。 (S1)
投資実績として、中小企業とベンチャーを含む累計40社への投資を公表している。この数字は投資先の累計であり、買収件数として読むことはできない。現在の保有社数も、この数字からは出てこない。 (S1)
投資先の顔ぶれは、公式サイトの投資先一覧で確認できる範囲にとどまる。同業の比率や個別の投資状況の詳細は、公表資料に含まれない。 (S2)
05 / TARGET
御庭工房が持つ施工の裾野。
対象の御庭工房は2003年6月設立、静岡県藤枝市の外構・舗装・土木工事会社である。
御庭工房の本社は静岡県藤枝市田沼2-14-11、代表取締役は菅原慎司。主な施工分野は外構、造成、舗装、造園、土木、とび・土工、建築である。藤枝・静岡・焼津の各地域を営業範囲にする。 (S1)
対応する発注者は個人宅から集合住宅、工場・商業施設、公共工事まで及ぶ。地域に根ざした施工業者として、公表資料は2003年6月の設立から続く沿革に触れる。 (S1)
市場での位置づけを示すシェアや順位の公表はなく、売上・利益・従業員数も非開示である。会社の規模を示す数字は、現時点で外部から検証できない。 (S1)
非上場
優良中小企業への自己資金投資と経営支援
- 本社東京都中央区
- 代表取締役社長中塚庸仁
- 累計投資社数40社(2026年10月22日公表時点・中小企業とベンチャーを含む累計)
- 取得資金自己資金
- 累計40社は投資先の累計で、買収件数ではない (S1)
有限会社
外構・造成・舗装・造園・土木・とび・土工・建築の施工
- 本社静岡県藤枝市田沼2-14-11
- 設立2003年6月
- 代表取締役菅原慎司
- 売上・利益未開示
- 従業員数未開示
- 藤枝・静岡・焼津エリアが主な営業範囲 (S1)
- 取得後の経営体制は未公表
06 / ROLL-UP
事業承継を入口に、同業を買い継ぐ。
本稿はこの案件を、自己資金投資家による同業ロールアップの一手として読む。ここからは、開示された事実の範囲で整理と仮説を進める。
NYCは公表資料で、承継とロールアップを並べて掲げた。順序から読める構造は次のとおりである。御庭工房を外構・舗装・土木の拠点に据え、その外側へ同業の提携や買収を重ねていく。 (S1)
自己資金での取得が意味するのは、買う会社と育てる期間を自分で決める前提だと読める。資金の出所にファンドのように期間の縛りがなければ、成熟までの時間をかけられる。この構造は、地域工事会社の育成と整合する。ただしこれは資金構造から導いた本稿の推論であり、NYCの運用方針の詳細は公表されていない。 (S1)
仮説として、同業の投資先が増えれば技術者の相互融通や資材の一括調達で採算が改善する可能性がある。もっとも実施と成果は未確認で、確認の材料はまだ出ていない。
既存の投資先に建設・外構分野の会社がどれだけ含まれるかは、公表資料からは確認できない。この空白こそ、次章の確認点の中心になる。 (S2)
07 / UNDISCLOSED
開示されたものと、まだ開かれていないもの。
本件で公表された項目と、非公表のまま残る項目を照合する。
価額と売主が開かれていない以上、この案件を金額で評価することはできない。読者が確認できるのは、完了した株式移転という事実と、NYCが掲げた目的である。 (S1)
確認点は三つある。一つは御庭工房の業績と建設業の資格の開示。二つはNYCの既存投資先とのシナジーの説明。三つは取得後の経営体制とPMIの進め方である。確認の窓口になるのは、NYCの公表資料と公式サイトの投資先一覧だ。 (S2)
2026年10月23日時点
- 公表日
- 開示済み
- 2026年10月22日 (S1)
- 株式取得完了日
- 開示済み
- 2026年10月1日 (S1)
- 取得形式
- 開示済み
- 全株式取得・100% (S1)
- 資金の出所
- 開示済み
- 自己資金 (S1)
- 目的
- 開示済み
- 事業承継・経営体制強化・ロールアップ推進 (S1)
- 取得価額
- 未開示
- 推計で補わない
- 売却株主
- 未開示
- 取得株数
- 未開示
- 御庭工房の売上・利益・従業員数
- 未開示
- アドバイザー
- 未開示
- 御庭工房の業績・資格の開示
- 次の確認点
- 次回公表での確認点
- 既存投資先とのシナジー
- 次の確認点
- 説明の有無を確認
- 取得後の経営体制・PMI
- 次の確認点
- 体制の公表を待つ
08 / LESSON
会社ごと引き継ぐ、という選択肢。
株主の交代は完了し、御庭工房という会社は存続する。
公表当日の10月22日には、M&A情報サイトのMARRの速報も出た。この取得は建設分野のM&Aとして、業界に伝わり始めている。 (S3)
自己資金による同業の買い継ぎが、地域工事会社の承継先として何を提示するのか。御庭工房が次に示す数字と体制が、その問いへの最初の答えになる。


