01 / DEAL
36億円の現金で、
AMTDを連結子会社へ
2026年10月20日、フェローテックは中国のAMTDを連結子会社とする方針を取締役会で決議した。
取引概要
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譲渡前・2026-11-30予定2026年10月23日時点
フェローテックの子会社FTHが、持分法適用会社AMTDの持分を現金150百万中国元(約36億円)で追加取得し、連結子会社化する。
取締役会決議は2026年10月20日に済んだ。株式譲渡の予定日は同年11月30日で、取引は未完了である。
取得後の持分比率は原文の記載が一致せず、2026年10月23日時点で訂正開示も出ていない。確定値は開示を待つ。
DEAL PROGRESS
決議は完了、譲渡は11月30日予定
- 01取締役会決議
FTHによるAMTD株式の現金取得と特定子会社への異動を決議。対価は150百万中国元(約36億円)。 (S1)
完了|2026-10-20 - 02AMTD株主総会
本件の承認を予定する。執筆時点では未了。 (S1)
予定|2026-10-30 - 03株式譲渡
譲渡の完了後、AMTDは特定子会社になる見込み。執筆時点では未了。 (S1)
予定|2026-11-30 - 04取得後比率の確定
原文の比率不整合が解けるまで確定しない。訂正開示は2026年10月23日時点で未公表。 (S2)
未確認|開示待ち
日程は2026年10月20日開示による。予定と完了は区別して扱う。 (S1)
全履歴(5件)を開く
2024.06.24
杭州博日が出資し、半導体装置向けアルミシャワーヘッド等の製造販売を始めた。フェローテックも子会社FTH経由で出資していた。 (S1)
2026.09.30
AMTDの株主表はFTH 20.3%、杭州博日47.3%。開示本文は追加取得分を46.7%と記載する。 (S1)
2026.10.20
FTHによる現金取得と特定子会社への異動を決議。対価は150百万中国元(約36億円)。 (S1)
2026.10.30(予定)
本件の承認を予定する。執筆時点では未了である。 (S1)
2026.11.30(予定)
譲渡の完了後、AMTDは特定子会社になる見込み。執筆時点では未了である。 (S1)
取得の主体は、フェローテックが100%保有する中国子会社FTHである。FTHは杭州博日が保有するAMTDの持分を現金で買い取り、AMTDを特定子会社へ移す。 (S1)
対価は150百万中国元(約36億円、1中国元=23.74円の会社換算)。この金額は杭州博日の持分に対する対価である。AMTDの企業価値でも全株取得価格でもない。 (S1)
AMTDの株主総会は2026年10月30日、株式譲渡は同年11月30日を予定する。本稿執筆時点(2026年10月23日)は決議後・譲渡前で、取引は完了していない。 (S1)
確定事項と未解決点の根拠根拠の中心は2026年10月20日の適時開示1本である。訂正の有無は同社IR一覧で確認した。取得後の持分比率は一次開示内で数値が一致しないため、本稿はFACTとして扱わない。
- FACT
- 2026年10月20日、フェローテックは取締役会で、中国子会社FTHによる持分法適用会社AMTDの株式取得を決議した。FTHは杭州博日が保有するAMTDの持分を現金150百万中国元(約36億円)で取得する。AMTDの資本金構成から、異動後は特定子会社になる。AMTD株主総会は2026年10月30日、株式譲渡は同年11月30日を予定する。本稿執筆時点(2026年10月23日)は譲渡前で、取引は完了していない。 (S1)
- ANALYSIS
- 対価の約36億円は杭州博日の持分を買い取る追加取得分の金額で、AMTDの企業価値ではない。開示原文は追加取得分を46.7%と書き、株主表は売主持分を47.3%と載せ、異動後は67.6%を示す。比率が確定するまで取得後の支配の厚みを断定できない、と本稿は整理する。 (S1)
- HYPOTHESIS
- シャワーヘッド事業をフェローテックのラインアップに統合し、生産規模を拡大できればAMTDの損失が縮小する可能性がある。ただし顧客契約の範囲、設備投資の負担、利益率の実現可能性は本開示からは検証できない。
2026年10月23日時点の公開情報。以降の章は、開示事実を土台にしたRAXUSの分析・仮説です。根拠資料を見る ↓
02 / BACKGROUND
起点は、
売り手側の事業構造にある
この取引の起点は、売り手側の事業構造にある。
AMTDは2024年6月に設立され、杭州博日の出資で半導体装置向けアルミシャワーヘッド等の製造販売を始めた。フェローテックも子会社FTH経由でAMTDへ出資し、20.3%を保有する持分法適用会社だった。 (S1)
杭州博日の主要事業は臨床検査分析機器と診断試薬等で、半導体は主業ではない。同社は半導体関連事業をFTHへ譲渡することに合意した。 (S1)
フェローテック側の目的は、AMTDのアルミシャワーヘッド等を製品ラインアップに加え、顧客である半導体製造装置メーカー向けの収益を増やすことと開示されている。 (S1)
03 / SCHEME
確定していないのは、
取得比率である
取引は現金による株式取得で、確定していないのは取得比率である。
開示原文の数字は三つ並んで一致しない。本文は追加取得分を46.7%と書き、株主表は杭州博日の持ち分を47.3%と載せ、異動後はFTHの67.6%を示す。20.3%に46.7%を足すと67.0%になり、47.3%を足すと67.6%になる。0.6ポイントの差は、2026年10月23日時点で解けていない。 (S1) (S2)
同社IR一覧には本件より新しい開示がなく、訂正開示は2026年10月23日時点で公表されていない。確定値が出るまで、本稿は取得比率を断定しない。 (S2)
原文に記載のない項目も多い。取得価額の算定方法、第三者評価の有無、資金調達の方法、会計上の処理は、いずれも未開示である。 (S1)
04 / COMPANIES
買う側は34年目、
買われる側は2年目
買う側のFTHは設立34年の製造子会社、買われるAMTDは設立2年目で損失を出す。
AMTDは設立2年目の半導体装置部材メーカーで、売上高に対して損失が近い規模である。一方で純資産は総資産の84%を占め、財務の厚みは失っていない。支払う36億円は杭州博日の持分に対する対価であり、この財務規模を丸ごと買う金額ではない。 (S1)
FTHは1992年1月設立の半導体等装置関連部材メーカーで、フェローテックが議決権の100%を保有する。中国の半導体部材生産を担う中核子会社が、AMTDを自らの傘下に置く構造である。 (S1)
売り手の杭州博日の筆頭株主は賀賢漢氏(49.51%)で、同氏はフェローテックの代表取締役社長、AMTDの法定代表者、FTHの董事長を兼ねる。関係者の兼任は開示が示す事実であり、本稿はここから手続の適否を判断しない。 (S1)
半導体装置専用機器の製造販売、金属表面処理、熱処理加工
- 資本金3億中国元(約71億円)(2026年9月30日現在) (S1)
- 売上高478,872千円(2026年3月期) (S1)
- 営業利益△352,110千円(2026年3月期) (S1)
- 当期純利益△440,872千円(2026年3月期) (S1)
- 純資産5,762,177千円(2026年3月期) (S1)
- 総資産6,845,229千円(2026年3月期) (S1)
- 所在地: 中国・安徽省銅陵市
- 設立2024年6月24日。代表者は法定代表者 賀賢漢
半導体等装置関連部材製造
- 資本金1,810百万中国元(約430億円)(2026年9月30日現在) (S1)
- 親会社の保有割合100%(フェローテック) (S1)
- 所在地: 中国・浙江省杭州市
- 設立1992年1月31日。董事長は賀賢漢
05 / UNDISCLOSED
未開示と、
次の確認点を分けて置く
未開示の項目と、読者が次に確認すべき点を分けて置く。
原文に記載がないのは、取得価額の算定方法、第三者評価の実施の有無、利益相反管理の手続と決議の関与状況、残余持分の構成、資金調達の方法である。開示されていない事実を推測で埋めない。 (S1)
2026年10月23日時点で、本件開示に対する訂正開示は公表されていない。確認すべき点は、2026年10月30日のAMTD株主総会、同年11月30日の株式譲渡の実施、訂正開示の有無、確定した取得後比率の4点である。 (S2)
関連ケース: フェローテックが買う手側に立った「日本抵抗器製作所へのTOB(2026年9月17日開示・進行中)」。本件とは買い手・売り手・対象が異なる別の取引である。フェローテックのM&Aを読むとき、両案件の条件を混ぜないための参照先としたい。
06 / LESSON
評価が動くのは、
譲渡実行と比率確定のとき
取引の評価が動くのは、譲渡実行と比率確定のときである。
フェローテックは、本件による今期業績への影響を軽微と見込んでいる。 (S1)
読み替えどきは、0.6ポイントの行方が示される場面である。
仮説として、確定した取得後比率は関連当事者間の価格公正性を検証する最初の材料になる。その値は、2026年11月30日の譲渡実行とともに現れる。


