01 / CASE
かどや製油TOBは、
価格と持分を同時に読む
2026年10月16日時点で、インテグラル傘下のITG-Gホールディングスは、かどや製油のTOBを進めている。初期価格は2,514円で、創業家は応募しない。成立・決済・非公開化はまだ完了していない。
30秒で読む|2026年10月16日時点・TOB進行中
30秒で読む
TOB進行中・未成立・未クロージング2026年10月16日時点
ITG-Gホールディングスは、かどや製油に1株2,514円でTOBを実施中だ。公開買付期間は10月30日までで、2026年10月16日時点のTOBは未成立である。(S1)
10月15日のBloomberg報道では、キッコーマン、J-オイルミルズ、アドバンテッジパートナーズの名前が買い手候補として報じられた。会社側が実名を公表した事実や、各社が正式な対抗TOBを始めた事実は確認されていない。(S1)(S12)
創業家は保有株をTOBに応募しない。三菱商事・三井物産の自己株式取得への合意を条件に、2,620円、2,644円、2,760円の条件付予定値も示されている。価格の適用、TOBの成立、決済、非公開化はいずれも未確定だ。(S1)
STAKEHOLDER MAP
関係者マップ|公式取引・創業家・報道候補
公式取引
創業家
価格条件
公式資料の候補
報道候補
報道ソース
3社の候補を報道。会社側の実名開示ではない。
S12 / 2026年10月15日DEAL PRICE
TOB価格の4ケース|2026年10月16日時点
2,514円は初期のTOB価格。2,620円・2,644円・2,760円は、三菱商事・三井物産の合意を条件とする予定値である。いずれも自己株式取得額ではなく、10月16日時点で最終価格の適用は確認されていない。
| ケース | 価格 | 条件 | 位置づけ(10/16時点) |
|---|---|---|---|
| 初期条件 | 2,514円 | 2026年9月14日公表の初期TOB価格 | 現行確認額。最終価格ではない(S1)2026年9月14日 (S1) |
| 三菱商事のみ合意 | 2,644円 | 三菱商事の自己株式取得への合意 | 条件付予定値。適用・最終確定は未確認(S1)2026年9月14日 (S1) |
| 三井物産のみ合意 | 2,620円 | 三井物産の自己株式取得への合意 | 条件付予定値。適用・最終確定は未確認(S1)2026年9月14日 (S1) |
| 両社が合意 | 2,760円 | 三菱商事・三井物産の自己株式取得への合意 | 条件付予定値。適用・最終確定は未確認(S1)2026年9月14日 (S1) |
DEAL PROGRESS
4段階で見るTOBの現在地
- 01発表
2026年9月14日:ITG-GがTOBを公表、かどや製油が賛同・応募推奨
完了した手続上の事実 - 02TOB中
2026年9月15日〜10月30日:初期価格2,514円。2026年10月16日時点でTOBは未成立
現在地 - 03結果待ち
10月30日満了後:TOBの成立可否と結果を確認。決済開始予定は11月9日
未到達 - 04非公開化手続予定
成立を条件に、株式併合・自己株式取得・合併を予定
未到達・予定
TOB未成立・決済未完了
全履歴(16件)を開く
2025年9月
賛同意見表明書に、複数の提案を比較検討したプロセスが記載されている。打診者の社名は公式資料で非開示。(S1)
2026年7月17日
買収ビークル。9月14日公表資料ではインテグラル100%保有とされた。(S1)
2026年9月14日
かどや製油が賛同・応募推奨を表明。東京証券取引所は監理銘柄(確認中)に指定した。(S1)(S2)(S3)
2026年9月15日
初期価格2,514円。買付期間は10月30日まで、買付下限13,847,100株、上限なし。(S1)
2026年9月16日
SPV出資者の表記をIA-G3 L.P.、ID-G4 L.P.、IG-G5 L.P.へ訂正。出資上限額は同一で、価格改定を示す訂正ではない。(S9)
2026年9月25日
対抗TOB・対抗提案のトリガー期限を5営業日前から3営業日前へ訂正。価格、買付期間、買付下限の訂正ではない。(S7)
2026年10月1日
旧インテグラル5842がインテグラル・グループ株式会社へ商号変更し、グループ統括会社体制へ移行した。(S10)
2026年10月8日
添付の公開買付開始公告の訂正を提出。届出書の公開買付要項に訂正箇所は記載されていないが、公告本文の訂正内容は未確認。(S8)
2026年10月15日
キッコーマン、J-オイルミルズ、アドバンテッジパートナーズの名前が報じられた。公式資料の匿名候補と同一視しない。(S12)
2026年10月30日
公開買付期間の満了予定日。10月16日時点でTOB成立は確認されていない。(S1)
2026年11月5日
「グローバルでごまの可能性をひらくブランド」への転換を告知。TOBとの因果は開示されていない。(S6)
2026年11月9日
公開買付けの決済開始予定日。成立後の手続であり、10月16日時点では未到達。(S1)
2027年1月下旬
少数株主の整理を予定している。成立後の手続であり、完了を示す日程ではない。(S1)
2027年2月下旬
株式併合後の自己株式取得を予定している。三菱商事・三井物産の合意状況と分けて確認する。(S1)
未定
時期は未定。合併後の創業家議決権は概ね25%を下回らない割合の予定。(S1)
価格条件(時系列外の注記)
三菱商事のみ合意で2,644円、三井物産のみ合意で2,620円、両社合意で2,760円。いずれも条件付予定値で、10月16日時点では未成立。(S1)
本件では、一般株主が応募するTOBと、創業家が株式を残す設計が同時に進む。価格の分岐と持分の分岐を分けると、TOBの成立条件と非公開化後の経営設計を混同せずに読める。
ここからは、創業家が残る意味と、安定株主が追加候補を求めた理由を、公式資料・報道・分析に分けて見る。
東京証券取引所の監理銘柄(確認中)は、上場廃止確定ではなく、TOB成立後の手続を確認するための区分である。(S3)
用語の補足:TOB(公開買付け)の仕組み・買付期間・価格決定の基本を、仕組み解説に整理している。
詳細エビデンスを開くFACT / REPORTED / ANALYSIS / HYPOTHESIS
- FACT
- ITG-Gホールディングスは、かどや製油に対し初期価格1株2,514円の友好的TOBを2026年9月15日に開始した。期間は2026年10月30日まで、買付予定数の下限は13,847,100株で上限は設けていない。(S1)
- FACT
- かどや製油は本TOBに賛同し、応募を推奨する意見を表明している。10月16日時点でTOB成立、決済、非公開化の完了は確認されていない。(S1)(S3)
- FACT
- 創業家株主の小澤物産、小澤商事、小澤一彦氏は保有株の全部をTOBに応募しない契約を結んでいる。合併後の創業家議決権比率は「概ね25%を下回らない割合」とする予定だ。(S1)
- FACT
- インテグラルは、創業家との協働経営を明記している。創業家が保有を残すことと、創業家が経営を支配することは同じではない。(S2)
- FACT
- 2026年9月16日の訂正プレスリリースは、SPVの出資者表記をIA-G3 L.P.、ID-G4 L.P.、IG-G5 L.P.へ訂正した。出資上限額は同一で、同訂正はTOB価格の改定を示すものではない。(S9)
- FACT
- 2026年9月25日の訂正届出書は、本公開買付契約における対抗TOB・対抗提案のトリガー期限を「公開買付期間満了日の5営業日前」から「3営業日前」へ訂正した。価格、買付期間、買付下限、株主間契約の条項を変更した訂正ではない。(S7)
- FACT
- 2026年10月1日、旧インテグラル(証券コード5842)はインテグラル・グループ株式会社へ商号変更し、グループ統括会社体制へ移行した。PE運用は新しいインテグラル株式会社、プリンシパル投資はインテグラルホールディングス株式会社が担う整理である。(S10)
- FACT
- 2026年10月8日の訂正届出書は、添付書類の9月15日付「公開買付開始公告」の訂正を扱う。届出書本文の「第1 公開買付要項」には価格・買付期間・買付下限の訂正箇所が記載されていない一方、公告レベルの訂正内容は同PDFから確認できない。(S8)
- FACT
- かどや製油は、TOB成立を条件に2027年3月期期末配当予想を1株47円から0円へ修正し、株主優待を廃止する方針を開示している。金額は1:3株式分割後の1株当たりである。(S1)
- FACT
- 賛同意見表明書には、2025年9月に匿名の事業会社から買収打診があり、複数候補を比較検討した経緯が記載されている。公式資料は打診元の社名を公表していない。(S1)
- REPORTED|報道(非公式)
- Bloombergは、打診元としてキッコーマン、三井物産が紹介した候補としてJ-オイルミルズ、三菱商事が追加を求めた候補としてアドバンテッジパートナーズの名前を報じた。いずれも会社側が公式に実名を公表した事実ではない。(S12)2026年10月15日
- FACT
- 東京証券取引所は、かどや製油を監理銘柄(確認中)に指定している。これは上場廃止の確定を意味せず、TOB成立後の手続を確認する段階を示す。(S3)
- ANALYSIS
- 2,514円と3つの条件付予定値を並べると、本件の価格は大株主との合意を前提に段階化されていると読める。10月16日時点で最終価格を確定値として扱う根拠はない。
- ANALYSIS
- 9月25日の期限変更は、対抗提案を受け付ける時間を満了日の直前まで残す設計に整理されたと読める。
- ANALYSIS
- 10月1日のスポンサー再編後は、旧上場会社名、グループ統括会社、PE運用会社、プリンシパル投資会社、買収ビークルを分けて書く必要があると整理できる。ITG-Gの直接株主名義は別途確認が必要だ。
- ANALYSIS
- 公式資料の匿名候補とBloombergの実名報道を分けると、競争的な提案プロセスがあった事実と、各社が正式な対抗TOBを開始した事実を区別できると読める。
- ANALYSIS
- 創業家の不応募、取締役会の応募推奨、自己株式取得を組み合わせる構造は、全株主が同じ出口へ向かう非公開化とは異なる設計に読める。ただし、最終的なガバナンスはまだ確定していない。
- HYPOTHESIS
- 仮説として、創業家の持分とブランドへの関与を残す設計は、非公開化後の顧客・従業員・取引先との関係を維持する意図と整合する可能性がある。開示資料はこの目的を明示していない。
- HYPOTHESIS
- 仮説として、三菱商事・三井物産の合意状況が価格だけでなく自己株式取得の実行条件にも影響するため、TOB結果の確認前に価格を一つへ絞ることはできない。
2026年10月16日時点の公開情報。以降の章は、開示事実を土台にしたRAXUSの分析・仮説です。根拠資料を見る ↓
03 / 創業家を残す設計
創業家の不応募と
スポンサー再編を分けて見る
創業家は保有株を売らず、スポンサー側は10月1日に会社名と統括体制を変えた。二つの変更は同じ資本関係の更新として一括りにしない。
小澤物産11.54%、小澤商事4.65%、小澤一彦氏0.32%の3者は、保有株の全部をTOBに応募しない契約を結んでいる。合計は約16.5%で、合併後の議決権比率は「概ね25%を下回らない割合」とする予定である。(S1)
インテグラルの公式発表は、創業家との協働経営を明記している。ITG-Gがインテグラル100%保有の買収ビークルとされたことは、合併後に創業家が議決権を残す予定と両立する。(S1)(S2)
10月1日、旧インテグラル5842はインテグラル・グループ株式会社へ商号変更し、グループ統括会社体制へ移行した。PE運用会社は新しいインテグラル株式会社、プリンシパル投資会社はインテグラルホールディングス株式会社である。(S10)
かどや製油は、TOB成立を条件に2027年3月期期末配当予想を47円から0円へ修正し、株主優待を廃止する方針を示した。1:3株式分割後の1株当たりであり、成立前に廃止が完了したという意味ではない。(S1)
「インテグラルが100%保有する買収ビークル」と「合併後も創業家が議決権を持つ予定」は別の時点の事実である。インテグラル・グループ、インテグラル、インテグラルホールディングス、ITG-Gを同じ会社名として扱わないことが重要だと整理できる。
創業家が持分を残すことは、創業家が経営を支配することを意味しない。役員構成、拒否権、最終的な持分比率は今回の開示だけでは確定していない。
仮説として、創業家の持分を残す設計は、老舗ブランドの顧客・従業員・取引先に対して経営の連続性を示す狙いと整合する可能性がある。開示資料は不応募の目的をこの言葉で説明していない。
RAXUS VIEW / EDITORIAL TAKEAWAY
「非公開化」と
「創業家Exit」は同じではない。
持分を残す契約と、合併後のガバナンスの確定を分けて確認する。
04 / なぜ非公開化なのか
非公開化の背景と
両社の状況を分けて見る
インテグラルは中長期の投資を非公開化の背景に挙げ、かどや製油はごま専業メーカーとして事業を続けている。取引後の効果はまだ開示されていない。
インテグラルは、かどや製油について国内ごま油市場で約40%、米国市場で約20%のシェアを持ち、2025年の海外ごま油売上高は87.5億円と説明している。いずれもインテグラルの説明値である。(S2)
インテグラルは、ブランディング、生産能力増強、高付加価値商品の開発、米国市場への浸透などの投資を挙げ、短期的な業績負担を伴う「第二の創業」を非公開化の目的として説明している。(S2)
かどや製油は2026年11月5日からのブランドリニューアルを告知し、「グローバルでごまの可能性をひらくブランド」への転換を掲げている。ブランド施策とTOBの因果関係は開示されていない。(S6)
公式資料が示す過去の候補は「匿名の事業会社」である。Bloombergは、キッコーマン、J-オイルミルズ、アドバンテッジパートナーズの実名を取材に基づいて報じたが、各社が正式な対抗TOBを開始したという開示ではない。(S1)(S12)
公式資料の匿名表記と報道の実名を分けると、買収提案を比較した競争的なプロセスと、正式な対抗提案の成立を区別できると読める。三菱商事と三井物産が反対や応募拒否を決定したと書く根拠もない。
非公開化は、投資の先行負担を短期の市場評価から切り離す手段として買い手側から説明されている。この説明が実際の業績改善につながるかは、成立後の投資実行と開示で検証する論点になる。
仮説として、「第二の創業」は国内ごま油メーカーから海外を含む調味料ブランドへ事業領域を広げる構想として読める。ただし、事業計画や効果の数値は今回の資料だけでは確認できない。
公表資料に上場情報の記載なし
かどや製油の公開買付けを実施する買収ビークル
- 設立2026年7月17日 (S1)
- 保有関係インテグラル100%保有(2026年9月14日時点) (S1)
- 10月1日再編後の直接株主名義未開示 (S10)
- 取得対価未開示 (S1)
- 旧・新社名、スポンサー各社、買収ビークルの関係を分けて確認する。
東証スタンダード・2612
1858年創業のごま専業メーカー
- 連結売上高400.30億円(2026年3月期) (S4)
- 営業利益38.18億円(2026年3月期) (S4)
- 純利益27.24億円(2026年3月期) (S4)
- TOB成立後の効果未開示 (S1)(S2)
- 既存業績の数値であり、TOBによる効果を示すものではない。
RAXUS VIEW / EDITORIAL TAKEAWAY
公式資料の匿名性と
報道の実名は分けて扱う。
キッコーマン、J-オイルミルズ、アドバンテッジパートナーズの正式提案やTOB開始を推測で補わない。
05 / LESSON
結論は完了後に書く。
まずは条件を確認する。
TOBは10月30日まで進行中で、成立・決済・非公開化は完了していない。
9月25日の訂正で対抗提案の期限は満了日の3営業日前となり、10月30日満了なら暦計算上10月27日となる。(S7)
10月8日の届出書は公開買付要項の訂正箇所を記載していないが、公告レベルの訂正内容は未確認である。(S8)
TOBの結果公表を受け、成立・決済・最終価格の確定状況を本稿に反映する。延長・条件変更・不成立の場合は、公表された内容に合わせて更新する。


