マーケティング戦略・Web集客

GoogleがAI検索に公式枠を試験。自社サイトは何で集客するか

公開 2026.10.17

10月15日、GoogleはAIの回答にリンクを増やし、公式の場所が1〜2か所に限られる問いでは公式ページを一番上に出す試験も予定した。この公式欄は、解説記事には客を公式に取られる道、自社の名前で探す客には自社のページが一番上に出る道にもなりうる。会社のサイトに人が来続けるのは、会社ごとに答えが違う問いと、名前で探されるときだ。

「○○工務店 見積もり」と検索した客の前に、Googleがその工務店の見積もりページを「公式」として一番上に出す。そうなりうる試験を、Googleが予定しています。

ところが、同じ工務店が書いた「住宅ローン減税とは」の記事は、逆の目にあいやすくなります。検索の一番上で、AIが先に答えてしまうからです。客はその答えを読んで帰ります。

同じ会社の、同じサイトです。それなのに、得をするページと、客を取られるページに分かれていきます。

日本の検索を調べたAhrefsの調査では、AIの答えが出る調べものの検索で、1位のページを押したのは100人中9人でした。会社のサイトに人が来続けるのは、会社ごとに答えが違う問いと、名前で探されたときです。

10月15日、Googleは「リンクを増やす」と「公式を上に出す」を同時に発表した

Googleは10月15日(米国時間)、公式ブログで、AIを使った検索の見せ方を変えると発表しました。対象は2つです。検索結果の上に出る「AIによる概要」と、AIと会話しながら調べる「AIモード」です。

変更は5つあります。中心は、AIの回答の文中に埋め込むリンクを増やし、回答の上のほうに出る回数を増やすことです。一部の回答の最後に並ぶ関連リンクも、画像つきで押しやすくします。

目を引くのは2つ目です。手続きをしたり、正確な情報を得たりできる公式の場所が、ウェブ上に1〜2か所しかない問いがあります。その場合、回答の一番上に専用の欄を作り、公式のページを理由つきで出す。その試験をするといいます。

図1 AIの回答に「リンクを増やす」と「公式を上に出す」が並んだ。Googleが2026年10月15日に発表した5つの変更は、回答の中のリンクを増やして上に出る回数を増やす(実施)、公式サイトの専用欄を回答の一番上に出す(試験の予定)、ニュース記事の欄をほかの地域と言語へ広げる(展開を開始)、一部の回答の最後の関連リンクを画像つきにする(実施中)、動画の作り手の名前からプロフィールへ飛べる(試験中)。どの変更にも国は書かれていない

出典:Google「More ways to connect with the web from Search」(2026年10月15日)をもとに筆者作成。状態の区分は発表文の書き方による。

国は、どの変更にも書かれていません。ニュース記事の欄も、ほかの地域と言語へ広げる(原文は additional locations and languages)とあるだけです。日本でいつ始まるかも、いまのところわかりません。

背景には、メディアや企業の訴えがあります。AFP通信は、ブランドや報道機関が訪問の急減を警告する中での発表だと伝えています。

そもそも「AIによる概要」とは何か。検索の入口に立った受付係

これまでの検索は、案内板のようなものでした。調べたい言葉を入れると、会社や記事の名前が10件ほど並びます。客はその中から選んで、自分でサイトを訪ねていきました。

いまは、その案内板の前に受付係が立っています。それが「AIによる概要」です。質問すると、受付係がいくつものサイトを読み、答えをまとめて伝えます。日本では2024年8月に始まりました。2025年9月からは、受付係と会話を続けられる「AIモード」も日本語で使えます。

図2 検索の入口に、先に答える「受付係」が立った。これまでの検索は案内板で、調べたい人は並んだリンクから自分で選んでサイトを訪ねた。いまは受付係(AIによる概要・AIモード)がいくつものサイトを読んで答えをまとめて話し、用が済んだ人はそこで帰り、もっと知りたい人だけがリンクから訪ねる

筆者による見立て。提供開始の時期は、国立国会図書館カレントアウェアネス・ポータル(2024年8月19日、2025年9月11日)による。

受付係の答えで用が済めば、客は案内板まで進みません。その差は数字に出ています。

日本の検索を調べたAhrefsの調査では、受付係が答える調べものの検索で、1位のページを押す人は、見込みでは100人中24人ほどでした。実際は9人です。

図3 受付係が答えると、検索1位でも押すのは100人中9人。日本の情報収集型の検索語で、AIによる概要が出ない1位の押される割合は31.7%。AIによる概要が出る1位は、本来の見込みが24.1%だったのに対し、実際は9.0%で、見込みより62.7%少なかった(2026年6月)

出典:Ahrefs「【Ahrefs 調査】AI による概要の CTR 低下が半年で加速、日本は検索 1 位でも 62.7% 減に」(2026年7月22日、PR TIMES)。見込みは、AIによる概要が出る1位の過去の値に、出ない1位の推移をかけてAhrefsが推計した値。62.7%は、見込み24.1%に対する減少率。

公式欄は、解説記事には逆風、名前で探される会社には追い風になりうる

報道や解説記事では、メディアへの訪問が減っていることと、AIに引用されるための書き方が目立ちます。けれども、減り方は一様ではありません。どんな問いかで、客の行き先が分かれます。

問いは3つに分けられます。

1つ目は、答えが1つに決まる問いです。制度の条件や言葉の意味がそうです。冒頭の工務店の「住宅ローン減税とは」も、ここに入ります。この問いは、受付係の答えと国税庁のページで、たいてい済んでしまいます。

2つ目は、会社ごとに答えが違う問いです。「うちの場合はいくらかかるか」「どこに頼めばいいか」。受付係は一般論までは答えます。でも、決めるには、会社の中身を見比べる必要があります。

3つ目は、名前で探す問いです。社名や店名で調べる客は、最初から行き先が決まっています。冒頭の「○○工務店 見積もり」は、ここに入ります。

Googleは公式欄を、特定のサイトに行きたい人にリンクを前に出してきた仕組みの延長だと説明しています。そのため、「○○工務店 見積もり」のように、自社で予約・注文・見積もり依頼ができる問いも、対象に入りえます。

公式欄が関わるのは、1つ目と3つ目の両方です。たとえば官公庁の手続きのように、公式の場所が限られる問いは、公式欄の対象になりそうです。

図4 公式欄は、①では客を取り、③では自社のページを押し上げうる。①答えが1つの問い(制度の条件、言葉の意味)は受付係の答えで済みやすい。②会社ごとに答えが違う問い(うちの場合はいくらか、どこに頼むか)は会社のサイトを見比べに来る。③名前で探す問い(社名・店名、社名+見積もり・予約)は会社のサイトや地図へまっすぐ行く。今回の公式サイト欄は、①のうち官公庁の手続きのような問いと、③の名前+手続きの問いにまたがる。解説記事には客を公式に取られる道、自社の名前で探す客には自社のページが一番上に出る道にもなりうる。Googleは公式欄を、特定のサイトに行きたい人向けの表示の延長と説明している

筆者整理。公式サイト欄は試験の予定の段階で、どの問いが対象になるかは発表に例がない。①と③にまたがるという整理は、原文の "complete a specific task or get the exact info you need" と、Googleによる「特定のサイトに行きたい人へのリンク表示の延長」という説明(原文 "This expands on what we already do today to show links front and center when you're looking to go to a particular site.")による。

本質は、クリックの総数が減ることではありません。答えが1つに決まる問いの客は受付係と公式へ移ります。名前で探す客は、これまでどおり自社へまっすぐ来ます。

なお、Googleの開発者向けの案内(検索セントラル)は、AIによる概要やAIモードに表示されるために、特別な最適化は要らないと説明しています。これは表示の条件の話です。表示されたあとに押されるかどうかは、また別の問題です。

よくある受け止め方

AIに拾われる書き方を工夫する

AIが引用しやすい文の形や、AI向けのファイルを整える。どの問いに答えるページを持つかは変えない

この記事の受け止め方

答える問いを選び直す

答えが1つの問いは、受付係と公式に任せる。会社ごとに答えが違う問いと、名前で探す客に、ページを寄せる

キーワードの小技ではなく、どの問いに答えるかを会社として決め直す作業です。

この媒体でも、制度の記事は最も多く表示されて、1回も押されなかった

私たち(RAXUSグループ)が運営するこの媒体の数字にも、同じ向きの傾向が出ています。インボイスや退職金など、制度や手続きを扱う13記事は、記事の分類の中で最も多く表示されました。それなのに、クリックは13記事すべてで0回でした。

ただし、この数字からは、AIによる概要が出ていたかどうかはわかりません。検索語がわかる分だけで見ると、順位はずっと低くもあります。押されなかった理由は、ほかにもありえます。

図5 この媒体でも、制度の記事は最も多く表示されて、1回も押されなかった。RAXUSビジネスオンラインの2026年9月24日〜10月13日の検索データで、制度・法令・手続きを扱う13記事は1,182回表示され、クリックは0回。作り方・回し方を扱う9記事は761回の表示で18回クリックされたが、クリックは2記事に集まった。人・組織の記事は497回の表示でクリック1回

出典:RAXUSビジネスオンラインのGoogle Search Console(2026年9月24日〜10月13日、記事ごとの集計)。旧URLと新URLの数字は合算。数字の範囲は図の注のとおり。

私たちは「制度の答えは、官公庁のページで済んでいるのでは」と見ていました。公式欄は、その見立てと同じ向きの変化です。そこで、新しい記事の題材は「作り方・回し方」の側から優先して選ぶことにしました。

作り方の記事も、一般論なら受付係に渡りえます。だから、指標や計画、判断の基準のように、読者が自社に当てはめて使う題材を選んでいます。

業界ごとに見ると、同じ業界の中で、残る問いと渡る問いが分かれる

自社の業界に置き換えてみます。

会社向けの仕事では、検索から問い合わせを取ってきた会社ほど、1つ目の問いの記事が集客の柱になりがちです。制度や用語の解説は書きやすく、検索の数も多いからです。

製造の受託なら「ステンレスの種類と違い」、ITの受託なら「電子帳簿保存法の要件」がそうです。こうした記事ほど、受付係に答えを持っていかれやすくなります。

地域の店は、少し事情が違います。客は「○○市 車検 土日」や店名で探すことが多く、もともと2つ目と3つ目の問いが中心です。美容室の予約も、店名で探されます。意外ですが、解説記事をあまり書いてこなかった店のほうが、今回の変化の影響は小さい側にいるのかもしれません。

図6 同じ業界の中で、受付係に渡る問いと、残る問いが分かれる。会社向けの仕事では、製造の受託は「ステンレス 種類 違い」と「試作 小ロット 何日で」、士業は「インボイス 登録 方法」と「飲食店に強い 税理士 顧問料」、ITの受託は「電子帳簿保存法 要件」と「在庫管理 自社向け 開発 費用」。地域の店では、工務店は「住宅ローン減税 条件」と「○○市 平屋 施工例」、整備工場は「車検 期限 調べ方」と「○○市 車検 代車あり 土日」、美容室は「白髪染め 頻度 目安」と「店名 予約」

筆者整理。検索語は例で、実際の表示は地域や時期によって変わる。

つまり、影響の大きさは業界で決まるのではありません。そのページが、どの問いに答えているかで決まります。

あなたの会社では:自社サイトのページを、3つの問いに仕分ける

あなたの会社のサイトにも、問い合わせの入口になってきたページがあるはずです。そのページは、どの問いに答えているでしょうか。

製造の受託なら、「ステンレスの種類」の記事は残してかまいません。ただ、そこに「うちで加工するときの板厚と納期の目安」を足します。答えが1つの説明は短くし、会社ごとに違う判断を前に出します。

工務店なら、「住宅ローン減税の条件」は国のページへのリンクで十分です。代わりに、施工例ごとに費用の幅と工期を書き足します。客が見比べたいのは、そこだからです。

図7 サイトのページに、答えている問いの印をつける。問い合わせの入口のページ10本を書き出し、答えが1つ・うちごと・名前の印をつけ、印ごとに次の一手を決める。記入例は、「インボイス制度とは」(答えが1つ)は説明を公式ページへのリンクに任せて自社の請求書で変わる点だけ残す、「施工事例」(うちごと)は事例ごとに費用の幅と工期、対応できない条件を書き足す、「見積もり・予約」(名前)は社名+見積もり・予約で検索し、出てほしいページが1つに決まっているかを確かめる

筆者整理。記入例は架空。

3つ目の名前で探す客は、検索の外で増えます。名前を覚えてもらう道は、検索結果の中ではなく、取引や紹介や報道の中にあります。そのうえで、社名で探されたときに一番上に出てほしいページを、1つに決めておきます。見積もりのページが2つあると、Googleがどちらを出すか迷います。

結果は、Googleの「Search Console」で確かめられます。AIによる概要やAIモードに出た分も、通常の検索と同じ「ウェブ」の数字に含まれます。

商談でよく聞かれる質問は、2つ目の問いの宝庫です。商談での聞き方と記録の残し方は「営業ヒアリングの技術を仕組みに変える」にまとめています。自社サイトから問い合わせを取る順番は「BtoBマーケティングの始め方」で扱っています。第三者に名前を知ってもらう道は「メディア掲載を獲得する広報戦略」をご覧ください。

NEXT ACTION / 次にやること

問い合わせの入口のページ10本に、問いの印をつける

問い合わせにつながってきたページを10本選びます。それぞれに「答えが1つ」「うちごと」「名前」のどれかの印をつけます。「答えが1つ」の印が半分を超えたら、商談でよく聞かれる質問を1つ選び、それに自社の答えを書くページを1本足します。あわせて、社名+予約・見積もり・問い合わせで検索し、出てほしいページが1つに決まっているかを確かめます。

5問で確認 自社サイトは、どの問いで集客しているか

AIの検索が広がっても人が来るサイトになっているかを確かめる、簡易チェックです。

SELF CHECK / 無料・登録不要

5問で確認|自社サイトは、どの問いで集客しているか

自社のサイトを思い浮かべて、いちばん近いものを選んでください。回答はこの端末の中だけで処理され、送信・保存されません。

回答の進捗0 / 5
  1. Q1問い合わせにつながっているページを、3本言える
  2. Q2主なページが「答えが1つの問い」か「会社ごとに答えが違う問い」かを分けている
  3. Q3制度や用語を解説するページに、自社ならどうするかの判断を書き足している
  4. Q4商談でよく聞かれる質問を、サイトのページに反映している
  5. Q5社名+見積もり・予約で検索したとき、出てほしいページが1つに決まっている

※一般的な検討項目を整理するための編集部独自の目安です。成果や適法性を判定・保証するものではありません。

出典・調査の対象範囲

  • Google「More ways to connect with the web from Search」(2026年10月15日、The Keyword) 原文を見る
  • AFP「Google boosts news and link visibility in AI mode」(2026年10月16日、The Manila Times掲載) 原文を見る
  • Ahrefs「【Ahrefs 調査】AI による概要の CTR 低下が半年で加速、日本は検索 1 位でも 62.7% 減に」(2026年7月22日、PR TIMES) 原文を見る
  • Google 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」 原文を見る
  • 国立国会図書館 カレントアウェアネス・ポータル「Google、AIによる概要を表示する“AI Overviews”の提供を日本で開始」(2024年8月19日) 原文を見る
  • 国立国会図書館 カレントアウェアネス・ポータル「Google、Google検索において『AIモード』の日本語での提供を順次開始すると発表」(2025年9月11日) 原文を見る
  • RAXUSビジネスオンライン Google Search Console(2026年9月24日〜10月13日、記事ごとの集計。編集部の内部データ)

※Googleの機能の内容・状態は、2026年10月17日時点の公式発表に基づきます。日本での提供時期は発表に記載がありません。問いの3分類、業種の整理、記入例と自己診断は、考え方を示すための編集部の整理です。

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