マーケティング戦略・リード獲得
BtoBマーケティングの始め方 専任も予算もない会社が着手する順番と法令の線引き
公開 2026.09.07
専任担当や広告予算がない会社向けに、BtoBマーケティングの着手順を解説。既存顧客・失注先の分析、掘り起こしメール、自社サイトと導入事例、効果測定の進め方を整理します。

- 掘り起こしのメールは、送ってよい相手が法律で決まっています。特定電子メール法第3条第1項は、①同意した人、②書面(名刺など)で自分のアドレスを通知した人、③取引関係にある人、④自社サイト等でアドレスを公表している法人・事業者の4類型以外への広告宣伝メールを禁じています
- 自社サイトの導入事例は、ステマ規制の対象になりません。消費者庁の運用基準は、事業者自身のウェブサイトでの表示を「事業者の表示であることが明瞭または社会通念上明らか」な例として挙げています。ただし好意的な声だけを恣意的に抽出したり、内容を書き換えたりした瞬間に線を越えます
- 販路開拓の費用には公的な支援があります。小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>第20回は補助上限50万円・補助率2/3で、申請受付は2026年11月5日から12月15日17時。ただし商工会・商工会議所が出す事業支援計画書の発行受付締切は12月4日と、1週間以上早く締まります
紹介と既存顧客への依存が続くと、主要顧客の変調がそのまま業績の悪化に直結します。とはいえ専任担当も広告予算もない会社にとって、「何から手をつけるか」は判断材料のないまま決めることになりがちです。本稿は、着手の優先順位と、その順番になる理由、自社サイトで最低限やること、掘り起こしや事例づくりで踏んではいけない法令の線、そして2026年度に使える公的支援までを、一次情報にあたって整理します。扱うのは商談が生まれる前の工程です。商談の場での聞き方は別の記事に譲ります。
最初に結論:着手の順番と、その順番になる理由
先に全体像を示します。並べる基準は「かかる費用」ではなく、成果が出るまでの時間と、必要な社内資源の少なさです。上から順に、手元にあるものを使う施策から、新しく作る施策へ移っていきます。
まず見るべき判断表|着手の順番と、注意する法令・制度
| 順 | 施策 | 主な原資 | 成果までの目安 | 特に注意する法令・制度 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 既存顧客への追加提案・失注先と休眠先の掘り起こし | 自社の時間 | 数週間 | 特定電子メール法(送信先の類型・表示義務) |
| 2 | 自社サイトの問い合わせ導線と会社説明の整備 | 自社の時間+外注費 | 1〜2か月 | 個人情報保護法(利用目的の明示)/電気通信事業法(外部送信規律) |
| 3 | 導入事例・提案資料の作成 | 自社の時間 | 2〜3か月 | 景品表示法(顧客の声の引用のしかた) |
| 4 | 展示会・商談会への出展、自社セミナー | 出展料・会場費 | 3〜6か月 | 持続化補助金の展示会等出展費が使える |
| 5 | 検索を意識した記事の継続発信 | 自社の時間 | 6か月以上 | ― |
| 6 | 検索連動広告・ディスプレイ広告 | 広告費 | 随時 | 景品表示法(優良誤認・有利誤認) |
「成果までの目安」は編集部の目安で、出典に基づく数値ではありません。業種と商材の単価によって前後します。右端の法令・制度は公的資料に基づくもので、後の章で条文まで確認します。
この順番になる理由は3つあります。第一に、1と2は失敗しても失うものが時間だけだからです。広告は止めた瞬間にゼロに戻りますが、掘り起こしとサイト整備の成果は残ります。第二に、3以降の施策はすべて2を前提にするからです。展示会で名刺を200枚集めても、相手が後で会社名を検索したときに何をしている会社か分からなければ、その名刺は数字になりません。第三に、5と6は分母が要るからです。検索から人が来ても、問い合わせに至る受け皿がなければ費用だけが出ていきます。
最初にやるのは広告ではなく、手元の名刺と失注案件を法令の範囲内で掘り起こすこと。経営者が決めるのは「この順番のどこまでを今期やるか」の1点です。
経営者が決めるのは、この順番のどこまでを今期やるか、という1点です。すべてを同時に始めると、どれも中途半端なまま「マーケティングは効かなかった」という結論になります。
❌ 「競合が広告を出しているので、まず月10万円の広告予算を確保して様子を見る」 ⭕ 「今期は1と2だけをやり切ると決め、3以降は来期の予算編成で判断する」
誰に何を売るのかは、既存顧客の分析からしか出てこない
「誰に売るか」を会議室で議論しても、たいてい抽象的な結論にしかなりません。手がかりは社外ではなく、自社の売上データの中にあります。
やることは単純です。直近3期の取引先を、粗利額の大きい順に並べます。そのうえで、上位の顧客について次の4項目を書き出します。業種と従業員規模、取引が始まったきっかけ(誰の紹介か、どこで知ったか)、最初に買った商品・サービス、そして取引が続いている理由です。10社も並べれば、業種・規模・きっかけのどこかに共通項が現れます。共通項が見つからない場合は、自社が「たまたま来た仕事を受けている状態」だと分かったということで、それ自体が有益な発見です。
次に、取引が続いている理由を推測で埋めないでください。既存顧客に直接聞きます。「なぜ他社ではなく当社に発注し続けているのか」という問いに返ってくる答えは、社内の想定と食い違うのが普通です。社内では「品質」だと思っていたものが、実際には「連絡が早い」「無理な納期に一度対応してくれた」だったというずれは、よく起こります。訴求すべき価値は、自社が誇りに思っていることではなく、相手が金を払っている理由のほうです。
ここで決めた「誰に・何を」は、そのまま自社の立ち位置の設計につながります。どの領域で選ばれる会社になるのかという整理はポジショニング戦略の決め方で扱っています。本稿はその整理を前提に、接点をどう作るかを扱います。
名刺の束は、法律上どういう扱いになるか
掘り起こしの原資は、社内に溜まっている名刺と過去の商談記録です。ここで最初に押さえるべきなのは、名刺交換で得た連絡先に自社の広告宣伝を送ることが、個人情報保護法上どう扱われるかです。
個人情報保護委員会は、Q&Aで次のように整理しています。個人情報取扱事業者の従業者であることを明らかにしたうえで名刺を交換した場合、相手側は名刺を渡した者が所属する事業者から広告宣伝のための冊子や電子メールが送られてくることについて、一定の予測可能性があると考えられる。この場合に名刺の連絡先へ自社業務の広告宣伝の冊子や電子メールを送ることは、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」に該当すると解される——業務時間外や事業場外で交換した名刺でも、事業者の従業者であることを明らかにしていれば同じ扱いです。
つまり、名刺交換の時点で利用目的を口頭で告げていなくても、自社からの案内を送ること自体は想定の範囲内とされています。ただし同じQ&Aは、電子メールについては個人情報保護法だけでなく、特定電子メール法における受信拒否の通知を受けた場合の対応や、通信販売等を行う場合の特定商取引法の規制など、他の法令の規定も遵守する必要があると明記しています。個人情報保護法をクリアしても、メール送信の可否は別の法律が決めるということです(出典:個人情報保護委員会「名刺交換により取得した連絡先に対して、自社の広告宣伝のための冊子や電子メールを送ることはできますか。」(Q4-16))。
一方で、外部から名簿やリストを買う場合は話がまったく別になります。個人データの提供を第三者から受けるときは、提供者の氏名・住所・代表者名と、その個人データの取得の経緯を確認し、確認した事項を記録して原則3年間保存する義務が生じます。委託に伴う提供や事業承継に伴う提供などは適用除外ですが、名簿の購入はこれに当たりません(出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(第三者提供時の確認・記録義務編)」)。手元の名刺を使うのと、リストを買うのとでは、負う義務の重さが違います。順番として手元から始めるべき理由は、ここにもあります。
❌ 「リード数を増やしたいので、まず業界リストを購入して一斉にメールを送る」 ⭕ 「社内の名刺と過去2年の失注案件を先に棚卸しし、購入は手元を使い切ってから検討する」
掘り起こしのメールは「送ってよい相手」が法律で決まっている
ここが実務でいちばん事故が起きる場所です。広告宣伝を目的とする電子メール(特定電子メール)は、送ってよい相手が法律で限定列挙されています。
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)第3条第1項は、送信者は次に掲げる者以外の者に対し特定電子メールの送信をしてはならない、と定めています。この4類型が、掘り起こしメールの射程を決めます。
| 号 | 送信してよい相手 | 実務での典型 | 押さえどころ |
|---|---|---|---|
| 1号 | あらかじめ送信を求める旨・送信に同意する旨を通知した者 | 資料請求フォームやセミナー申込で購読に同意した人 | 同意を証する記録の保存義務がある(法3条2項) |
| 2号 | 総務省令・内閣府令で定めるところにより自己の電子メールアドレスを通知した者 | 名刺交換で受け取った担当者 | 通知の方法は「書面により通知する方法」(施行規則2条1項) |
| 3号 | その広告・宣伝に係る営業を営む者と取引関係にある者 | 現に取引が継続している顧客。反復発注が見込まれる先を含む | 同意も名刺も不要。ただし取引が途絶えた休眠先は3号の根拠にならない |
| 4号 | 総務省令・内閣府令で定めるところにより自己の電子メールアドレスを公表している団体・個人(個人は営業を営む者に限る) | 会社サイトに問い合わせ先メールを載せている法人 | ただし、アドレスと併せて「送信をしないように求める旨」の文言が置かれている場合は除く(施行規則3条ただし書) |
BtoBの掘り起こしにとって重要なのは、2号・3号・4号の存在です。名刺は書面ですから2号に当たり、現に取引関係にある顧客は3号に当たります。さらに4号があるため、企業がウェブサイト上で公開している問い合わせ用アドレスは、原則として送信先にできます。ただし、そのサイトに「営業メールはお断りします」といった趣旨の文言がアドレスと併せて掲示されているときは、4号から外れます。相手のサイトを開いて、その文言があるかどうかを見る。これが法令上、意味のある確認作業になります。
ここで注意が要るのが、掘り起こしの主な相手である休眠先と失注先です。3号の「取引関係にある者」について、総務省・消費者庁のガイドラインは「社会通念上、明示の拒否がなければ広告・宣伝メールが送付されることを許容していると認められるような社会関係にある者」と定義し、単発の購入については「一度の購入のみでは必ずしも継続的な関係にあるとは言えないが、以後の購入等の取引が予定されている場合には、外形的に判断して取引関係にあるといえる場合もある」としています。つまり3号が想定しているのは現に続いている関係であって、取引が途絶えた休眠先や、そもそも受注に至らなかった失注先を3号だけで送信先にすることはできません。
休眠先・失注先は「取引関係(3号)」では送れません
取引が途絶えた相手に送るなら、名刺交換(2号)か、相手がサイトで公表している問い合わせ用アドレス(4号)を根拠にします。リストに「根拠の号」の列を作り、空欄の相手には送らないのが実務の基本です。
もっとも、これは掘り起こしができないという意味ではありません。休眠先も失注先も、担当者と名刺を交換していれば2号で送れます。相手企業がサイトに問い合わせ用アドレスを公表していれば4号でも拾えます。実務上やるべきことは、リストを作る段階で「この相手はどの号を根拠にするのか」を1件ずつ列に書くことです。根拠の列が空欄のまま残った相手には送らない——これだけで、後から説明できないメールがなくなります。
❌ 「一度でも取引があった会社は取引先だから、休眠先にも一斉に案内メールを送る」 ⭕ 「休眠先は名刺(2号)か公表アドレス(4号)で拾えるかを1件ずつ確認し、根拠が立たない相手は電話や郵送に切り替える」
(出典:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第3条、同法施行規則第2条・第3条、e-Gov法令検索/総務省総合通信基盤局消費者行政課・消費者庁取引対策課「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」、平成23年8月版)
記録の保存と、必ず書かなければならない5項目
同意を取って送るのであれば、記録を残す義務が付いてきます。法第3条第2項は、1号の通知を受けた者に「送信をするように求めがあったこと又は送信をすることに同意があったことを証する記録」の保存を義務づけています。記録すべきは、通知をした人の個別のメールアドレスと、通知を受けた時期・方法その他の状況を示す記録です。保存期間は施行規則第4条第2項が定めており、送信を最後にした日から起算して1か月を経過する日までが原則です(総務大臣等の命令を受けた場合は1年に延びます)。フォームの送信ログに日時とチェック内容を残しておけば足りる水準で、専用のシステムは要りません。
そして、送るメール自体にも表示義務があります。法第4条と施行規則第9条が定める項目は次のとおりです。1通ごとにこの5点が入っているかを、テンプレートの段階で確認してください。
| # | 表示すべき事項 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | 送信者(送信に責任を有する者)の氏名または名称 | 法4条1号 |
| 2 | 受信拒否の通知を受けるための電子メールアドレスまたはURL | 法4条2号 |
| 3 | 受信拒否の通知を行うことができる旨 | 施行規則9条1号 |
| 4 | 送信者の住所 | 施行規則9条2号 |
| 5 | 苦情・問合せ等を受け付けることができる電話番号・メールアドレス・URL | 施行規則9条3号 |
1と2は、受信をする者が容易に当該事項を認識することのできる場所に置く必要があります(施行規則7条1項)。本文の最下部に小さく並べるだけでは、この要件を満たしているとは言いにくくなります。
受信拒否の通知を受けたあとは、その意思に反して送信してはなりません(法3条3項)。例外は施行規則第6条が定めており、契約の申込みをした者・契約を締結した者に対する申込み・内容・履行に関する通知に広告が付随的に行われる場合などに限られます。注文確認メールの末尾に案内が載る程度は例外に当たりますが、配信停止した相手に「別のリストだから」と再送するのは例外に当たりません。
罰則も確認しておきます。送信者情報を偽った送信や、措置命令への違反は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(法34条)。法人の従業者がその法人の業務に関して法34条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して3,000万円以下の罰金刑が科されます(法37条1号)。担当者に配信作業を丸投げして、テンプレートの中身を経営者が一度も見ていない状態は、この条文の前では合理的な体制とは言えません。
❌ 「配信停止の依頼が来たリストは別管理にして、新商品の案内だけは送っておく」 ⭕ 「配信停止は全リスト横断で即時反映し、送信者名・住所・苦情窓口をテンプレートに固定する」
自社サイトで最低限やること
サイトを持っているかどうかは、もはや論点になりません。総務省の令和7年通信利用動向調査によれば、自社のホームページを開設している企業の割合は93.3%で、前年から0.1ポイント上昇しています。産業別では情報通信業100.0%、不動産業97.5%、建設業97.2%、金融・保険業96.9%です。ただしこの調査の対象は常用雇用者が100人以上の企業であり、それより小さい会社の実態をそのまま示すものではありません(出典:総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」、令和7年8月末時点)。
PUBLIC STATISTICS
自社ホームページを開設している企業の割合
差がつくのは開設の有無ではなく、開いた人が3つの問いに答えを見つけられるかです。この会社は何をしているのか。自社と似た会社の実績があるか。どうやって連絡すればよいか。以下は、この3点に落とした最低要件です。
| 見る場所 | 満たしたい状態 | 満たせていないと何が起きるか |
|---|---|---|
| トップページ最上部 | 何を、誰に提供する会社かが一文で書かれている | 展示会で渡した名刺から検索した人が離脱する |
| 実績・導入事例 | 業種・規模・課題・成果が書かれた事例が3件以上ある | 発注の社内稟議で「実績は」と聞かれた担当者が説明できない |
| 問い合わせフォーム | 入力項目が10個以下で、スマートフォンで崩れない | 移動中に見た人が入力を諦める |
| 会社情報 | 所在地・代表者・設立年・取引先の業種が載っている | 与信・反社チェックの段階で確認が止まる |
| 連絡先 | 電話番号と受付時間が全ページから見える | 急ぎの案件が競合に流れる |
| 料金の考え方 | 金額が出せなくても、何で決まるか(規模・数量・期間)を書く | 予算感が合わない問い合わせばかり増える |
BtoBで意思決定に効きやすいのは、2番目の事例です。顧客名の掲載許諾が得られなくても、業種・従業員規模・抱えていた課題・導入後の変化を数字で書けば、読む側は自社に置き換えられます。逆に、「お客様の声」を短い賛辞だけで並べたページは、量を増やしても説得力が上がりません。
「クッキー同意バナー」は自社サイトに必要か
サイトを作り直すときに必ず出てくる質問なので、線引きを書いておきます。電気通信事業法第27条の12のいわゆる外部送信規律は、クッキーなどで利用者の情報が外部に送信される際の通知・公表を求める規律ですが、適用されるのは「電気通信事業者又は第三号事業を営む者」であって、対象となる役務を提供する場合です。
総務省のFAQは、この点を具体的に説明しています。小売業者がウェブサイトを開設して商品販売を行う場合は、本来業務である小売業の遂行の手段として電気通信を用いているに過ぎず、自己の需要のために電気通信サービスを提供しているため「電気通信事業」に該当せず、外部送信規律も適用されない。実店舗を持たずウェブサイトのみで販売している場合も同じ結論です。一方で、複数の店舗や出品者の商品を購入できる「場」を提供するオンラインショッピングモールは電気通信事業に該当し、規律が適用されます(出典:総務省「外部送信規律FAQ」問1-12・1-13・1-14)。
自社の商品・サービスを紹介し、問い合わせを受けるだけのコーポレートサイトは、この整理では規律の対象になりません。制作会社から「法改正対応で必要です」と言われたら、自社がどの類型に当たるのかを確認してください。もっとも、アクセス解析や広告タグを入れるなら、何を取得してどう使うかをプライバシーポリシーに書いておくことは、法令上の要否とは別に取引先からの信用の問題として意味があります。
❌ 「よく分からないので、他社サイトを真似してクッキー同意バナーだけ入れておく」 ⭕ 「自社が電気通信事業に当たるかを確認し、当たらないなら取得情報の説明をポリシーに書く」
バナーの要否とは別に、問い合わせフォームで名前や連絡先を受け取る以上、個人情報保護法の義務は発生します。同法第21条は、個人情報を取得したときは利用目的を本人に通知するか公表することを求めており、あらかじめ利用目的を公表している場合は個別の通知が要りません。フォームの近くかプライバシーポリシーに「お問い合わせへの回答および当社サービスのご案内のために利用します」といった形で目的を書いておけば、この要件は満たせます。後で掘り起こしメールを送る計画があるなら、案内に使う旨をこの段階で書いておくほうが、あとから目的を追加するより手間がかかりません(出典:個人情報の保護に関する法律第21条、e-Gov法令検索)。
事例と「お客様の声」は、ステマ規制が引いた線の内側で作る
事例づくりに進むと、景品表示法の話が絡んできます。令和5年10月1日から、いわゆるステルスマーケティングが景品表示法違反の対象になりました。根拠は「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年内閣府告示第19号)で、規制の対象となるのは商品・サービスを供給する事業者(広告主)であり、依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は対象になりません(出典:消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」)。
まず安心してよい点から。消費者庁の運用基準は、事業者の表示であることが一般消費者にとって明瞭である、または社会通念上明らかなものは告示の対象にならないとしたうえで、その例として「事業者自身のウェブサイトにおける表示を行う場合」と「事業者自身のSNSのアカウントを通じた表示を行う場合」を挙げています。自社サイトに導入事例を載せること自体は、ステマには当たりません。
線を越えるのは、次の2つの場面です。
第一に、第三者の声を都合よく加工したときです。運用基準は、自社サイトの一部で第三者の表示を利用する場合について、第三者の表示を恣意的に抽出することなく(例として、第三者のSNSの投稿から事業者の評判を向上させる意見のみを抽出しているにもかかわらず、そのことが一般消費者に判別困難な方法で表示すること)、また第三者の表示内容に変更を加えることなく(例として、良い点と悪い点の両方が書かれているのに一方だけを取り上げ、もう一方の意見がないかのように表示すること)、そのまま引用する場合には事業者の表示にならない、としています。裏返せば、好意的な部分だけを切り出したり、文言を整えて印象を変えたりすれば、それは自社の表示になります。
第二に、外部に依頼したコメントを、依頼した事実を隠して載せたときです。運用基準は、事業者自身のウェブサイトであっても、専門家や一般消費者等の第三者の客観的な意見として表示しているように見えるものの、実際には事業者が依頼・指示をして特定の内容の表示をさせた場合や、そもそも事業者が作成し第三者に何らの依頼すらしていない場合には、事業者の表示であることを明瞭に表示しなければならないとしています。表示のしかたの例として、運用基準は「弊社から〇〇先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。」という書き方を挙げています。
(出典:消費者庁「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」、令和5年3月28日消費者庁長官決定)
なお、景品表示法は一般消費者の商品選択を保護する法律であり、告示も一般消費者の判別可能性を問題にしています。事業者間の取引だけを対象にした商材が直ちに規制の射程に入るとは限りません。ただし、自社サイトもSNSも誰でも見られる場所にあり、消費者向けの商材を併せて扱う会社では線引きが曖昧になります。加えて、「恣意的に抽出しない」「内容に変更を加えない」という基準は、事例の信頼性を保つ実務の物差しとして、法令上の要否とは関係なく使えます。取材メモを相手に確認してもらい、掲載前に許諾を取る。この2工程を型にしておけば、ほぼ問題は起きません。
報道機関やメディアに取り上げてもらう道は、本稿の範囲外です。取材を受ける準備やプレスリリースの出し方はメディア掲載を獲得する広報戦略で扱います。
❌ 「導入事例の原稿はこちらで書き、顧客には掲載可否だけメールで確認する」 ⭕ 「発言はそのまま引用し、原稿を顧客に見せて確認と許諾を取り、依頼して書いてもらった文章はその旨を書く」
展示会・検索・広告へ広げる順番と、公的支援の使いどころ
事例と資料が揃うと、外に出る施策が意味を持ち始めます。ここで初めて費用の話になりますが、販路開拓の費用には公的な支援があります。2026年度に中小企業が使える代表的な2制度を、公募の実情まで含めて比べます。
| 項目 | 小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>第20回 | デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 |
|---|---|---|
| 主な用途 | 販路開拓(展示会出展・広報・ウェブサイト等) | 業務プロセスを持つソフトウェアの導入 |
| 補助率 | 2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4) | 1/2以内(低賃金雇用者が30%以上の場合は2/3以内) |
| 補助額 | 上限50万円(インボイス特例+50万円、賃金引上げ特例+150万円、両方で+200万円) | 1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下 |
| 対象者 | 小規模事業者(商業・サービス業は常時使用する従業員5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下) | 中小企業・小規模事業者等 |
| 直近の締切 | 申請受付2026年11月5日〜12月15日17時。事業支援計画書(様式4)の発行受付締切は12月4日 | 5次締切2026年9月29日17時(交付決定2026年11月9日) |
| 必要な準備 | GビズIDプライム、商工会・商工会議所の事業支援計画書、電子申請 | GビズIDプライム、登録済みのIT導入支援事業者とITツール |
持続化補助金は「本体の締切」より先に締まる書類があります
第20回の申請受付は2026年11月5日〜12月15日17時ですが、商工会・商工会議所の事業支援計画書(様式4)の発行受付締切は12月4日です。逆算して商工会・商工会議所への相談を先に入れてください。
持続化補助金で押さえるべきは、対象経費の8区分です。①機械装置等費、②広報費、③ウェブサイト関連費、④展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、⑤旅費、⑥新商品開発費、⑦借料、⑧委託・外注費。展示会の出展料に加えて「関連する運搬費(レンタカー代、ガソリン代、駐車場代等は除く)・通訳料・翻訳料」も対象になり、展示会・商談会の会場までの旅費は⑤で拾えます。自走で運ぶ場合の燃料代や駐車場代は運搬費に計上できないので、見積の段階で分けておいてください。
ただし制約が2つあります。第一に、ウェブサイト関連費のみによる申請はできません。必ずほかの経費と一緒に申請する必要があり、加えてこの経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です。サイトのリニューアルだけを目的にした申請は通らない設計になっています。第二に、広報費については「補助事業計画に基づく商品・サービスの広報を目的としたものが補助対象であり、単なる会社のPRや営業活動に活用される広報費は、補助対象外」と明記されています。会社案内パンフレットや名刺は対象外です。何を売るための広報かを先に決めていない会社は、そもそも申請書が書けません。誰に何を売るのかの定義と、その裏づけになる既存顧客の分析を飛ばせない理由が、ここにも現れます。
(出典:小規模事業者持続化補助金事務局<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領(第8版)、2026年7月21日改定。公募要領の当初公開は2026年5月27日/中小企業庁「小規模事業者持続化補助金について」)
もう一方の制度は名称が変わっています。従来の「IT導入補助金」は、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」(中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金)になりました。独立行政法人中小企業基盤整備機構が採択を行う枠組みで、通常枠のほかインボイス枠、セキュリティ対策推進枠、複数者連携枠があります。顧客管理や見積作成の効率化はこちらの守備範囲で、販路開拓そのものは持続化補助金、というのが大まかな使い分けです(出典:中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 事業スケジュール」、「通常枠」)。
補助金の金額・要件・締切は年度ごと、公募回ごとに変わります。本稿の数値は2026年9月時点で公表されているものです。申請を検討する段階では、必ず上記の公式サイトで最新の公募要領を確認してください。制度の探し方と、申請でつまずきやすい場所は補助金・助成金の探し方にまとめています。
相談先も無料のものがあります。よろず支援拠点は国が設置した無料の経営相談所で、47都道府県に置かれ、中小企業・小規模事業者からの経営上のあらゆる相談に何度でも無料で対応するとされています(出典:中小企業基盤整備機構「よろず支援拠点全国本部」)。持続化補助金の事業支援計画書を出すのは商工会・商工会議所ですから、その相談と併せて動くと手数が減ります。
効果をどう測り、いつやめるか
指標を増やすと、運用は必ず止まります。マーケティング固有の数字として月次で追うのは、次の4つで足ります。
- 問い合わせ件数(流入経路別に分ける)
- 商談化件数(初回打ち合わせに至った数)
- 受注件数と受注単価
- 初回接触から受注までの日数
この4つを並べると、問題がどこにあるかが切り分けられます。問い合わせが増えないなら、そもそも人が来ていないのか、来ているのに問い合わせないのかを、サイトの訪問数と並べて判断します。問い合わせは増えたのに商談化しないなら、訴求している内容と来ている相手がずれています。商談化するのに受注しないなら、それはマーケティングではなく商談の問題です。この線引きをせずに施策だけを足しても、費用が増えるだけで何も変わりません。商談の場で何を握るかは営業ヒアリングの技術を仕組みに変えるで扱っています。
4番目の日数は、経営者が必ず自分で見てください。初回接触から受注までの期間が分からないまま予算を組むと、成果が出る前に打ち切る判断をしてしまいます。自社の受注案件を10件さかのぼって、最初の接触日と受注日を書き出すだけで、おおよその水準が出ます。それが4か月なら、2か月で判断してはいけないということです。
指標の定義を固定する作法、目標値の置き方、月次で回す運用の設計は中小企業のKPI設計で扱っています。本稿ではマーケティング固有の4つに絞り、それ以外の一般論はそちらに譲ります。
やめる基準も先に決めておきます。決め方は「成果が出なかったら」ではなく、「何を、いつまでに、いくつ」の3点で書くことです。たとえば「展示会は2回出展し、2回目の出展から3か月時点で商談化が3件に満たなければ、翌年度は出展しない」。この形にしておくと、判断が担当者の熱意や社内の空気に左右されなくなります。逆に、記事の継続発信のように成果まで半年以上かかる施策は、開始時点で「12か月は評価しない」と決めてしまうほうが健全です。3か月で判断すれば、ほぼ確実に「効かなかった」という結論になります。
投じた費用が何か月で戻るのかも、あわせて見てください。受注単価と粗利率が分かれば、1件の受注を取り戻すのに必要な期間は計算できます。この数字を月次の入出金に落とす手順は資金繰り表の作り方と同じ考え方です。マーケティングの投資判断は、最終的にこの表の上で決まります。
❌ 「問い合わせ件数が前月比で増えたかどうかを、月次会議で毎回確認する」 ⭕ 「問い合わせ・商談化・受注・受注までの日数を並べ、どの段階で落ちているかだけを見る」
外注に出すときに見極めること
社内に人がいない以上、どこかで外部の力を借りることになります。判断の材料になる質問を挙げます。金額の多寡より、この5点の答えのほうが結果を左右します。
- 同じ業種・同じ規模の支援実績があるか。大企業向けの手法をそのまま持ち込まれると、必要な人手が社内にありません
- 成果の定義を、契約前に数字で書けるか。「認知度向上」ではなく「問い合わせ件数」「商談化件数」で書けるか
- 納品物の権利と、契約終了後の扱いがどうなるか。サイト、広告アカウント、記事、顧客リストの所有者は誰か
- 月次で誰が何時間動くのかが見えるか。「運用代行」の中身が定例会1回だけ、ということは珍しくありません
- 自社に何が残る設計になっているか。契約が終わった翌月に更新が止まるなら、それは資産ではなく賃借です
3番目は特に確認してください。広告アカウントや解析ツールの管理権限を代理店名義で開設すると、契約終了時にデータが手元に残らないことがあります。アカウントは自社名義で開設し、代理店には権限を付与する形にするのが基本です。同様に、サイトのドメインとサーバーの契約名義も自社にしておきます。この種の条件は口頭では流れるので、契約書の条項として詰める必要があります。読む順番は契約書のチェックポイントにまとめました。
もうひとつ、外注しても、誰に何を売るのかの定義だけは外注できません。既存顧客の分析と、選ばれている理由の言語化——早見表の1に入る前の土台にあたる工程——は、経営者と現場でしか作れない材料です。ここが空白のまま制作会社に発注すると、きれいだが誰に向けたものか分からないサイトが出来上がります。逆に、この材料さえ揃っていれば、外注先の力量にかかわらず一定の水準にはたどり着きます。
❌ 「制作会社に『よいサイトにしてほしい』と伝え、提案を待つ」 ⭕ 「既存顧客の分析結果と選ばれた理由を先に渡し、成果の定義を問い合わせ件数で契約書に書く」
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※一般的な検討項目を整理するための編集部独自の目安です。成果や適法性を判定・保証するものではありません。
まとめ
専任担当も広告予算もない会社にとって、BtoBマーケティングの出発点は広告でも新しいツールでもありません。手元の名刺と失注案件を掘り起こし、来た人が判断できるサイトを整え、そのうえで事例と資料を作る。外に出るのはその後です。この順番になるのは、上から順に失うものが小さく、下の施策がすべて上の施策を前提にするからです。
掘り起こしは、法律が送ってよい相手を決めています。同意した人、名刺で自分のアドレスを通知した人、現に取引関係にある人、サイトにアドレスを公表している法人。この4類型が特定電子メール法第3条第1項の内容で、名刺と既存顧客という手元の資源がそのまま射程に入ります。取引が途絶えた休眠先や失注先は「取引関係」では拾えないので、名刺か公表アドレスのどちらを根拠にするかを1件ずつ確認してください。送るメールには送信者名・住所・受信拒否の窓口・苦情の窓口を必ず載せ、配信停止は全リストで即時に反映してください。
事例を自社サイトに載せること自体は、ステマ規制の対象になりません。対象になるのは、載せ方のほうです。守るべきは、好意的な部分だけを抜き出さないこと、文言を書き換えないこと、外部に依頼したコメントはその旨を書くこと。この3点です。
費用が要る段階に来たら、公的支援を先に確認してください。販路開拓なら小規模事業者持続化補助金、社内の仕組みならデジタル化・AI導入補助金。ただし金額も締切も年度ごとに変わり、事業支援計画書のように本体の締切より早く締まる書類もあります。必ず公式サイトで最新の公募要領を見てから計画を立ててください。
測るのは4つだけです。問い合わせ件数、商談化件数、受注件数と単価、そして初回接触から受注までの日数。この4つを並べれば、直すべきなのがマーケティングなのか営業なのかが分かります。そして始める前に、いつやめるかを数字で決めておく。それが、限られた資源で続けるための前提条件です。
NEXT ACTION / 次にやること
失注先・休眠先を20社書き出し、送信根拠の号を1件ずつ記入する
名刺があれば2号、相手サイトに問い合わせ用アドレスが公表されていれば4号。根拠が空欄のまま残った相手には送らない、というルールを最初に決めてください。
よくある質問
Q名刺交換した相手に、いきなり営業メールを送ってもよいのですか。
特定電子メール法第3条第1項第2号は、総務省令・内閣府令で定めるところにより自己の電子メールアドレスを送信者に通知した者を、送信してよい相手として挙げています。この通知の方法は施行規則第2条第1項で「書面により通知する方法」とされており、名刺はこれに当たります。個人情報保護法の側でも、個人情報保護委員会のQ&Aが、事業者の従業者であることを明らかにして名刺交換した場合、その連絡先へ自社の広告宣伝の冊子や電子メールを送ることは「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」に該当すると整理しています。ただし送るメールには表示義務があり、受信拒否の通知を受けたあとは送信できません。
Q相手の会社サイトに載っている問い合わせ用アドレスに、案内メールを送ってよいですか。
特定電子メール法第3条第1項第4号は、総務省令・内閣府令で定めるところにより自己の電子メールアドレスを公表している団体または個人(個人は営業を営む者に限る)を、送信してよい相手として挙げています。公表の方法は施行規則第3条で「インターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置く方法」とされています。ただし同条ただし書により、アドレスと併せて特定電子メールの送信をしないように求める旨の文言が置かれている場合は、この号から外れます。送る前に相手のサイトを開き、その趣旨の記載がないかを確認してください。
Q導入事例に「お客様の声」を載せるとき、ステマ規制に引っかかりますか。
自社のウェブサイトに載せること自体は問題になりません。消費者庁の運用基準は、事業者自身のウェブサイトにおける表示を、事業者の表示であることが明瞭または社会通念上明らかな例として挙げています。注意すべきは中身のほうで、第三者の表示を恣意的に抽出すること(好意的な意見のみを抜き出すなど)や、内容に変更を加えること(良い点と悪い点の両方があるのに一方だけを取り上げるなど)をせずに、そのまま引用する必要があります。また、専門家などに依頼して書いてもらったコメントを、依頼した事実を隠して第三者の客観的意見のように見せる場合は、事業者の表示であることを明瞭に表示しなければなりません。運用基準は「弊社から〇〇先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。」といった書き方を例に挙げています。
Q自社サイトにクッキーの同意バナーは必要ですか。
電気通信事業法第27条の12の外部送信規律は「電気通信事業者又は第三号事業を営む者」に適用される規律です。総務省のFAQは、小売業者がウェブサイトを開設して商品販売を行う場合について、本来業務の遂行の手段として電気通信を用いているに過ぎず「電気通信事業」に該当しないため外部送信規律は適用されない、と説明しています。実店舗を持たずウェブのみで販売している場合も同じです。一方、複数の店舗や出品者の商品を購入できる「場」を提供するオンラインショッピングモールは対象になります。自社の商品・サービスを紹介し問い合わせを受けるだけのサイトは、この整理では規律の対象になりません。ただし、取得する情報とその使い道をプライバシーポリシーに書いておくことは、取引先からの信用の観点で意味があります。
Q補助金でウェブサイトを作り直せますか。
小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>にはウェブサイト関連費という区分がありますが、第20回公募要領には「ウェブサイト関連費のみによる申請はできません」と明記されており、必ずほかの経費と一緒に申請する必要があります。加えて、この経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です。広報費についても「単なる会社のPRや営業活動に活用される広報費は、補助対象外」とされ、会社案内パンフレットや名刺は対象になりません。サイト単体ではなく、展示会出展や新商品の広報と組み合わせた計画にする必要があります。なお公募要領は改定されるため、申請前に最新版を確認してください。
QIT導入補助金は2026年度も使えますか。
制度名が変わっています。2026年度は「デジタル化・AI導入補助金」(正式名称:中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金)として実施されており、独立行政法人中小企業基盤整備機構が採択を行う枠組みです。通常枠のほか、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠、複数者連携枠があります。通常枠の補助率は1/2以内(低賃金雇用者が30%以上の場合は2/3以内)で、補助額は1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下です。締切は公募回ごとに設定されるため、公式のスケジュールページで確認してください。
Q記事を書き始めましたが、3か月で何も起きません。やめるべきでしょうか。
判断が早すぎます。検索経由の流入は、記事を出してから評価されるまでに時間がかかるうえ、BtoBでは読んだ人がすぐ問い合わせるとは限りません。判断の材料にすべきは問い合わせ件数ではなく、自社の受注案件の「初回接触から受注までの日数」です。過去10件を書き出して平均が4か月なら、3か月時点では最初に読んだ人がまだ検討の途中にいる計算になります。むしろ問題は、やめる基準を決めずに始めたことのほうです。「12か月は評価しない」「12か月時点で問い合わせが月1件に届かなければ止める」と先に決めておけば、3か月目に迷うことはありません。判断の基準は、本稿で挙げた4つの指標のいずれかに置いてください。サイトの訪問数は問題の切り分けに使う補助的な数値で、停止の基準には向きません。
Q社員が3人で、営業もマーケティングも社長が兼務しています。どこまでやれば十分ですか。
本稿の順番でいう1と2、つまり既存顧客と失注先の掘り起こしと、自社サイトの整備までで区切ってください。この2つは外部への支払いがほとんど発生せず、社長の時間だけで進みます。掘り起こしは、過去2年の失注案件のうち理由が予算やタイミングだったものを抜き出し、1社ずつ状況を書き添えて連絡する形で足ります。サイトは、トップページの一文と事例3件と問い合わせ導線の3点に絞れば、数週間で形になります。3以降に進むかどうかは、この2つをやり切ったうえで、問い合わせが実際に増えたかどうかを見てから決めれば間に合います。相談先が要るなら、47都道府県に設置され何度でも無料で相談できるよろず支援拠点があります。
出典・調査の対象範囲
- e-Gov法令検索「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」「同法施行規則」、総務省・消費者庁「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」 — 送信してよい相手の4類型と表示義務。
- e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」、個人情報保護委員会「名刺交換により取得した連絡先への送付(Q4-16)」「第三者提供時の確認・記録義務編ガイドライン」、総務省「外部送信規律FAQ」 — 名刺・リスト・自社サイトの個人情報と外部送信。
- 消費者庁「ステルスマーケティングは景品表示法違反となります」「運用基準」 — 導入事例・お客様の声の線引き。
- 総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」 — ホームページ開設率。常用雇用者100人以上の企業が対象です。
- 小規模事業者持続化補助金事務局「第20回公募 公募要領(第8版)」、中小企業庁「小規模事業者持続化補助金について」、中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 事業スケジュール」「通常枠」「よろず支援拠点」 — 補助金の要件・締切と相談先。公募回ごとに変わります。
※着手の順番と成果までの目安は編集部の整理です。法令の適用は個別の事情で変わるため、判断に迷う場合は専門家に確認してください。



