MANAGEMENT / 事業企画・推進・申請実務
経営革新計画の作り方 「他社にもある技術」でも申請できる。承認は支援の入口であって、承認自体が成果ではない
公開 2026.10.08
経営革新計画の承認要件は「新事業活動」と「付加価値額年平均3%・給与支給総額年平均1.5%」。他社で既に使われている技術・方式でも原則申請できます。一方で、承認すれば補助金が出るという理解は誤りで、承認の実効果は保証・融資・投資の金融面に集中します。5類型の新事業活動の捉え方、数値目標の算式、別表1〜4の埋め方、承認後に動く支援策と動かないものの切り分けまで、中小企業庁の一次情報で整理します。

- 経営革新計画は、中小企業等経営強化法に基づき、新事業活動(5類型の「新たな取り組み」)と、付加価値額の年平均3%以上・給与支給総額の年平均1.5%以上という数値目標をセットで計画として申請し、都道府県等の承認を受ける制度です。事業期間は3〜5年で、3年なら付加価値額9%以上(給与4.5%以上)、5年なら15%以上(給与7.5%以上)の伸びを計画に盛り込みます
- 「経営革新計画を承認してもらうと補助金が出る」という理解は誤りです。国の経営革新補助金は2006年度に廃止されています。承認の実質的な効果は、信用保証の別枠、日本政策金融公庫の特別利率、海外展開の資金調達支援、投資育成会社の投資対象といった金融面に集中しており、どれも承認後に各機関の別途審査が必要です。ガイドブック自体が「計画の承認は支援を保証するものではない」と繰り返し明記しています
- 国の税制優遇(中小企業経営強化税制、先端設備等導入計画の固定資産税特例)は、同じ法律に基づく経営力向上計画・先端設備等導入計画の側に置かれています。経営革新計画と先端設備等導入計画は両方並行して持てるため、税制を狙うなら別の計画として申請する形になります
- 「うちには革新的な技術がない」と申請をためらう会社が多い一方で、制度上のハードルは、同業他社・同地域で「相当程度普及している」技術や方式でないことです。既存事業との差分を「新事業活動」の類型に乗せられるかが審査の焦点になります
経営革新計画は、本メディアの既存記事(経営戦略のつくり方、新規事業の仮説検証、事業計画書の作成ポイント)から繰り返し参照してきた計画です。本稿では、その申請の中身を扱います。何が「新事業活動」として認められるか、数値目標の算式、計画書の欄の埋め方、承認後に何が動くのか、そして承認では何も動かないという点まで、中小企業庁の一次情報で整理します。
最初に結論:経営革新計画の申請で決めるべき5つのこと
まず見るべき判断表|経営革新計画の要件と承認後の効果
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法 | 中小企業等経営強化法(旧・経営革新等支援法) |
| 申請者 | 中小企業者(製造業等:常時使用従業員500人以下 ほか業種別基準)、組合等、企業組合・協業組合、一般社団法人(構成員の2/3以上が中小企業者) |
| 承認要件①新事業活動 | 5類型のいずれかまたは複数の「新たな取り組み」。他社既採用の技術・方式も原則対象。ただし同業・同地域で相当程度普及しているものは対象外 |
| 承認要件②数値目標 | 付加価値額(または一人当たり付加価値額)の年平均3%以上+給与支給総額の年平均1.5%以上。事業期間3〜5年 |
| 申請先 | 原則、代表社の本社所在地の都道府県。共同申請の構成によっては地方経済産業局・中小企業庁 |
| 承認後の効果 | 保証の別枠(2億円)、公庫の特別利率(新事業活動促進資金)、海外資金調達支援、投資育成会社の投資対象化。いずれも承認後に各機関の審査が必要 |
| 事後手続き | 計画開始1年目以後2年目以前にフォローアップ調査。計画変更は様式第14で変更承認申請 |
判断の中心は「承認が取れるか」ではなく「承認後に使う資金計画として機能するか」。承認の効果は保証・融資・投資の金融面に集中し、どれも各機関の別途審査があります。補助金は出ません。
なお、承認を受けたからといって国の税制優遇が自動的に付くわけではありません。税制(中小企業経営強化税制、先端設備等導入計画の固定資産税特例)は経営力向上計画・先端設備等導入計画の側の制度です。この切り分けは後述します。
「経営革新」とは何か 制度の位置づけを先に整理する
中小企業等経営強化法は、「経営革新」を「事業者が新事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ること」と定義しています(中小企業等経営強化法第2条第9項)。つまり承認要件は2つしかなく、「何を新しくやるか」(新事業活動)と「それでどれだけ伸びるか」(数値目標)です。
同じ法律には、もう2つの計画制度があります。2020年10月の中小企業成長促進法改正で、異分野連携新事業分野開拓計画と特定研究開発等計画が経営革新計画に統合され、計画制度は「成長段階に応じた体系」に整理されました(出典:中小企業庁経営革新計画 進め方ガイドブック、2025年4月改定・2025年6月公開。以下「ガイドブック」)。
- 経営革新計画:新事業活動による成長投資を支援する計画(本稿の対象)
- 経営力向上計画:基礎体力づくり(生産性向上・販路開拓など)を支援する計画。中小企業経営強化税制のA・B・D・E類型はこの認定が前提
- 先端設備等導入計画:賃上げ表明つき設備投資を支援し、固定資産税の特例を受けられる計画。投資利益率5%以上の要件は設備投資の判断基準で扱いました
3つの計画は排他ではありません。 経営革新計画で新事業を進めながら、経営力向上計画で既存設備の更新計画を持つことはできます。むしろ実務では、新事業の資金は経営革新計画の金融支援で、設備投資の税制は経営力向上計画・先端設備等導入計画で、と役割を分けるのが整理しやすい構成です。
❌ 「経営革新計画を承認すれば、設備投資の税制優遇もセットでもらえる」 ⭕ 「経営革新計画の直接の効果は金融・保証・投資面。設備投資の税制は経営力向上計画・先端設備等導入計画に置かれている。必要なら別の計画として並行申請する」
新事業活動の5類型 「世の中に初めて」は要件ではない
「新事業活動」は、次の5類型の「新たな取り組み」です。中小企業庁は「経営革新」を、事業者が新事業活動を行うことによりその経営の相当程度の向上を図ること、と説明しています(出典:中小企業庁経営革新支援/根拠条文は中小企業等経営強化法第2条。項番号は改正で移動するため、引用時はe-Govで現行条文を確認してください)。
- 新商品の開発又は生産
- 新役務の開発又は提供
- 商品の新たな生産又は販売の方式の導入
- 役務の新たな提供の方式の導入
- 技術に関する研究開発及びその成果の利用その他の新たな事業活動
5番目は「技術に関する研究開発及びその成果の利用」と「その他の新たな事業活動」をまとめて1つの類型として定めたものです。この5番目を2つに割って「6類型」と数える解説が流通していますが、法令・中小企業庁の区分は5つです。申請書の類型欄も5区分で作られているため、数え方を合わせておいてください。
ガイドブックは、ここで明確に述べています。「個々の中小企業者にとって『新たな事業活動』であれば、既に他社において採用されている技術・方式を活用する場合でも原則として承認の対象となります」(前掲・ガイドブック)。
ラインを引くのは「普及」です。基本方針第3に基づき、①業種ごとの同業中小企業における導入状況、②地域性が高いものは同一地域の同業他社における導入状況を判断し、「既に相当程度普及している技術・方式等の導入」は承認対象外とされます。つまり審査で問われるのは「全国初か」ではなく、「同業・同地域で、もう当たり前になっていないか」です。
ガイドブックの記載事例から、類型の広さを読み取れます。
- ③商品の新たな生産・販売の方式の導入:果物小売業者がフルーツパーラーを開店(既存商品の提供形態の転換)
- ④役務の新たな提供の方式の導入:タクシー会社が乗務員に介護資格を取得させ、高齢者向け移送サービスへ進出
- ②新役務の開発又は提供:旅館が空室を日帰りリラクゼーションルームに改装(既存資産の別用途転用)
- ⑤技術に関する研究開発及びその成果の利用その他の新たな事業活動:金属加工業者が実験データの蓄積から熱加工を予測するシステムを構築し、実験回数を削減
どれも「発明」ではありません。既存の経営資源を、まだ自社がやっていない形に組み替える取り組みが5類型に乗っています。 新規事業の仮説検証で扱った「作らずに確かめる」プロセスを通った仮説は、類型3・4に乗せやすい形になります。
❌ 「大手もやっているEC販売を始めるが、経営革新計画には新規性がなくて申請できない」 ⭕ 「自社にとって未実施であり、同業・同地域で相当程度普及していないなら申請できる。差分が『新たな取り組み』として書けるかを、類型に沿って整理する」
数値目標 付加価値額3%・給与1.5%はどう計算するか
「経営の相当程度の向上」は、次の2指標が事業期間(3〜5年)で向上することです(前掲・ガイドブック)。
- 付加価値額、または一人当たりの付加価値額:年平均3%以上
- 給与支給総額:年平均1.5%以上
ガイドブックが示す事業期間終了時の目標伸び率は次のとおりです。
| 事業期間 | 付加価値額(または一人当たり) | 給与支給総額 |
|---|---|---|
| 3年 | 9%以上 | 4.5%以上 |
| 4年 | 12%以上 | 6%以上 |
| 5年 | 15%以上 | 7.5%以上 |
3年 / 3 YEARS
付加価値額 9%以上
給与支給総額は4.5%以上
4年 / 4 YEARS
付加価値額 12%以上
給与支給総額は6%以上
5年 / 5 YEARS
付加価値額 15%以上
給与支給総額は7.5%以上
算式の定義を取り違えない
付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費(別表3の算式)。さらに、損金算入されるリース・レンタル費用を減価償却費に算入すること、短時間労働者・派遣労働者に係る費用を人件費に算入し、従業員数にも加えることが指定されています(前掲・ガイドブック別表1・別表3)。
給与支給総額 = 役員報酬 + 給料 + 賃金 + 賞与 + 各種手当。各種手当には残業手当、休日手当、家族手当、住宅手当等を含み、給与所得とされない手当(退職手当等)及び福利厚生費は含みません。
この定義には2つの実務上の含意があります。
1つ目。付加価値額の3%は、営業利益だけで稼ぐ数値ではありません。 人件費と減価償却費(+リース費用)が分子に入るため、設備投資で償却費・リース費用が増える局面では、そのぶん付加価値額も持ち上がります。投資直後で利益の立ち上がりが遅くても、償却費の分だけ目標達成に寄与する計算になります。逆に、人件費を削って利益を出す計画は、人件費の減少ぶん分子を押し下げ、給与支給総額1.5%の要件とも正面から衝突します。 この数値目標は、賃上げを伴わない合理化を後押ししない設計になっています。
2つ目。目標値は「別表3の数値」で示すため、直近3期の決算書から、この算式どおりの数値を自社で毎期算出できる状態が前提です。 部門別損益の作り方で扱った月次の管理と同じく、年1回の申請のためだけに作る数値ではなく、決算で毎年追える指標として置くことが、計画終了時の成果確認(終了企業調査)まで一貫して効いてきます。
なお、計画期間終了時点で付加価値額または一人当たり付加価値額が正の値であることが必要です(前掲・ガイドブック別表3注)。また、創業3年未満の会社は「記入できる範囲を記載する」ことで申請可能です(前掲・ガイドブック別表3)。若い会社も対象外ではありません。
❌ 「営業利益が3年で9%増える計画だから、付加価値額の目標はクリアできるはず」 ⭕ 「付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費(+リース費用)。投資による償却費の増加も分子に入る。自社の決算書から毎期この算式で数値を出して目標を置く」
計画書の中身 別表1〜4を埋める順番
申請書類は、様式第13(承認申請書)と別表1〜7が基本で、直近2期間の事業報告書・貸借対照表・損益計算書を添付します(都道府県によって独自の様式・追加資料があるため、申請先への確認が必要です)。申請の実務で中身を考えるのは、次の4つの表です。
別表1(経営革新計画):申請者名・資本金・業種(日本標準産業分類の小分類)、実施体制、新事業活動の類型、経営革新のテーマ、計画期間、そして現状の数値と計画終了時の目標伸び率を記載します。類型は「対象となる類型全て」に丸を付ける形式で、取り組みが複数の類型にまたがっていても問題ありません。
別表2(実施計画と実績):実施項目・評価基準・評価頻度・実施時期を、番号を関連付けて記載します(例:1年目の第1四半期なら「1-1」)。評価基準は定量化できるものは数値で、できないものは定性でも可とされています。ここがKPIの設計と月次運用で扱った「何を測るか」の話と重なります。実績欄は申請時点では空欄でよく、計画開始後に◎○△×で埋めていきます。 つまり別表2は、申請後にフォローアップ調査で見られる「当番表」そのものです。書いたら終わりではなく、承認後に回す前提で項目を粗く作りすぎないことが重要です。
別表3(経営計画及び資金計画):直近3年間の決算数値と、計画期間中の予測値を記載します。売上高・売上原価・販売費及び一般管理費(人件費の内書き)・営業利益・減価償却費・給与支給総額から付加価値額を自動計算する構造です。資金調達額は計画期間中のみ記載します。ここで書く資金調達は、金融機関交渉術で扱う返済計画と整合させる必要があります。申請と並行して関係機関に相談することを、ガイドブックも繰り返し推奨しています。
別表4(設備投資計画及び運転資金計画):経営革新計画に係る設備投資と運転資金を、機械装置ごとに名称・年度・金額で記載します。ここに書いた設備は、設備投資の判断基準で扱った採算・返済原資の検討を済ませたうえで載せるべきものです。別表4の金額は、承認後の公庫融資等の相談の基礎になります。
事業計画書の作成ポイントで述べた「公的な様式を骨格にする」という原則はここでも有効です。経営革新計画の別表3は、公庫の事業計画書(参考様式第1号)と項目の多くが共通しており、一度同じ数字で両方を埋められるように整理しておくと、金融機関向け計画書と申請書類の書き分けが1回で済みます。
承認後に何が変わるか 効果は金融面に集中し、いずれも「別途審査」
承認の実質的な効果は、次の4つに整理できます(前掲・ガイドブック)。
2億円
信用保証の別枠(通常の付保限度額と同額。組合は4億円)
7,200万円
新事業活動促進資金の融資限度額(国民生活事業)
2006年度
国の経営革新補助金が廃止された年度
① 信用保証の特例
- 経営革新計画の承認事業に関する資金について、通常の付保限度額と同額の「別枠」が設定されます(限度額2億円、組合は4億円)
- 研究開発費用など新事業開拓保証の対象となる資金については、付保限度額が引き上げられます
- 保証協会の通常の保証とは別枠なので、既存の保証残高が上限に達している会社にとって意味が出ます
② 日本政策金融公庫の特別利率
- 経営革新計画の承認を受けた事業者向けの制度は「新事業活動促進資金」です。融資限度額は国民生活事業で7,200万円(うち運転資金4,800万円)、中小企業事業で7億2,000万円、融資期間は設備資金20年以内・運転資金7年以内(いずれも据置期間あり)です(出典:日本政策金融公庫新事業活動促進資金)
- 適用されるのは特別利率(国民生活事業は特別利率A・B・C、中小企業事業は特別利率①②③の区分)で、土地にかかる資金や一定額を超える部分は基準利率になります。具体的な利率は金融情勢によって変動するため、「基準利率から何%引き」という固定の数値で採算を組まず、申込時点の金利情報で確認してください
- なお、中小企業事業には高い成長性が見込まれる事業者向けの「新事業育成資金」という別制度があり、名称が似ていますが経営革新計画の承認を前提とする制度ではありません。社内で取り違えないよう、制度名で確認してください
- 金利の優遇幅は、借入額と期間によって手元に残る金額が決まります。制度の有無で審査の合否が変わるわけではないため、融資を受けられない会社が承認を取れば融資が降りる、という話ではありません
③ 海外展開に伴う資金調達の支援
- 日本政策金融公庫による現地法人への直接貸付け(クロスボーダーローン、別枠14億4,000万円)、スタンドバイ・クレジット(補償限度額4億5,000万円)、中小企業信用保険法の特例による海外投資関係保証の限度額引き上げ(2億→3億円、組合は4億→6億円)、NEXIの海外事業資金貸付保険
④ 投資を受ける仕組み
- 中小企業投資育成株式会社からの投資対象は原則資本金3億円以下の株式会社ですが、経営革新計画の承認を受けて経営革新のための事業を行う株式会社は、資本金3億円超も投資対象になります
そして、補助金は出ません
「経営革新計画の承認=補助金」を期待して申請する会社は、その前提を直す必要があります。 ガイドブックは明記しています。かつて国と都道府県が2/3を限度に補助した「経営革新補助金」は2006年度に廃止した。ただし、都道府県によっては承認企業への独自の補助制度が引き続き存在する場合があり、また承認の有無にかかわらず利用できる国の補助金は別にある、としています(前掲・ガイドブック)。補助金の探し方で扱ったとおり、公募要領の応募資格を毎回確認する必要があります。承認企業への加点が設けられる補助金もあれば、設けられない補助金もあり、これは制度ごとに確認すべき個別事項で、承認の一般的效果ではありません。
承認=支援の確約ではありません
保証・融資・投資のいずれも、承認後に信用保証協会・日本政策金融公庫・投資育成会社の個別審査を通る必要があります。都道府県独自の補助制度の有無は、申請先で確認してください。
承認は支援措置を保証するものではない、という注意書きはガイドブックの中で複数回登場します。保証・融資・投資のいずれも、承認後に各実施機関(信用保証協会、公庫、投資育成会社)の個別審査を通る必要があります。この事実は不利な話ではなく、計画の立て方に直接の指針を与えます。
❌ 「まず承認を取ってから、資金の相談を始める」 ⭕ 「別表3・4の資金計画は承認後に使う審査資料でもある。ガイドブックの指示どおり、計画の申請と並行して、保証協会・公庫・金融機関と数字を詰めておく」
確認ポイント:利率の優遇幅、保証の限度額、貸付制度の種類は年度により改定されます。本稿が参照したガイドブックは2025年4月改定(2025年6月公開)です。実際の利用にあたっては、中小企業庁の最新版と、利用する各機関(信用保証協会、日本政策金融公庫)の公表情報を確認してください。
手続きと期間 申請先、フォローアップ、計画変更
手続きは次の流れです(前掲・ガイドブック)。
- 都道府県の担当部局等に問い合わせる(対象者の要件、計画の内容、申請手続き、窓口、支援措置の内容)
- 必要書類の作成・準備(様式第13、別表1〜7、定款、直近2期の決算書等)
- 申請書の提出
- 都道府県知事、国の地方機関等の長による承認
申請先は原則、代表社の本社所在地の都道府県です。複数社の共同申請で代表社の本社が複数県にまたがる場合、または組合等が複数県で活動する場合などは、地方経済産業局・事業所管省庁・中小企業庁が窓口になることがあります(前掲・ガイドブック35〜36ページの表)。単独申請の会社は、まず本社所在地の都道府県の担当部局に相談すれば間違いありません。
申請にあたっては、商工会・商工会議所、都道府県等中小企業支援センター、よろず支援拠点、そして認定経営革新等支援機関(税理士、公認会計士、中小企業診断士、金融機関等)が計画策定の指導・助言を行っており、中小企業庁の検索システムで近くの支援機関を探せます。
承認後は手放しではありません。
- フォローアップ調査:都道府県等は、計画開始時から1年目以後2年目以前に進歩状況の調査を行い、指導・助言を行います。このとき見られるのが前述の別表2の実績欄です
- 計画の変更:数値目標や実施内容を変更する場合は、様式第14による変更承認申請が必要です。承認された計画は申請者のものではなく、変更には承認が要るという位置づけで運用してください
- 終了企業調査:計画終了時に成果状況の確認が行われ、今後の経営革新施策に反映されます
事業期間は3〜5年から選びます。 伸び率の要件は累積で9%/12%/15%(給与4.5%/6%/7.5%)なので、期間が長いほど年平均としては同じでも絶対的な伸びが大きく求められます。 逆に、新事業の売上の立ち上がりに2年かかる見通しの会社が3年計画で申請すると、前期までの実績ベースの伸び率では目標に届かない構造になりやすい。投資効果が出始める年を数値上に置けるのは何年目かを先に見て、事業期間を選んでください。
5問で確認する 経営革新計画の申請準備度
申請に進めるだけの材料が揃っているかを確かめる簡易チェックです。
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5問で確認|経営革新計画の申請準備度
検討中の新しい取り組みを1つ思い浮かべて、いまの状態にいちばん近いものを選んでください。回答はこの端末の中だけで処理され、送信・保存されません。
※一般的な検討項目を整理するための編集部独自の目安です。成果や適法性を判定・保証するものではありません。
まとめ
経営革新計画の申請で経営者が決めるべきことは、次の5つです。
- 申請するかどうかを、「新規性がないから」で諦めない。 要件は自社にとって新たな事業活動であることであり、同業・同地域で相当程度普及していないこと。他社既採用の技術・方式も原則対象
- 数値目標を決算書の算式から置く。 付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費(+リース費用)の年平均3%、給与支給総額の年平均1.5%。人件費を削る計画は両方の要件と衝突する
- 承認の効果は金融面に集中していると理解する。 保証の別枠2億円、公庫の特別利率、海外資金調達支援、投資育成会社の投資対象化。国の経営革新補助金は2006年度に廃止済み。いずれの支援も承認後に各機関の別途審査が必要
- 申請と並行して資金の相談を進める。 別表3・4の資金計画は、承認後の各機関の審査にも使う数字
- 税制を狙うなら計画を分ける。 設備投資の税制優遇は経営力向上計画・先端設備等導入計画の側に置かれており、経営革新計画と並行して持てる
そして、承認そのものは出発点です。ガイドブックが最後に強調するのは、計画の作成過程で会社の強み・課題・数値が見える化されることのほうです。承認の効果が金融面に限定される制度だからこそ、計画の中身が実務の当番表(別表2)として機能するかどうかが、この申請の実質的な価値を決めます。
NEXT ACTION / 次にやること
直近3期の決算書から付加価値額と給与支給総額を計算する
付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費(+リース費用)。この2つの数字の推移が、事業期間を3年にするか5年にするかの判断材料になります。
よくある質問
Q経営革新計画を承認してもらえば、補助金がもらえるのでしょうか。
国の経営革新補助金は2006年度に廃止されています。ただし都道府県によっては承認企業を対象とする独自の補助制度が存在する場合があり、また承認の有無にかかわらず申請できる国の補助金は別にあります。承認企業への加点措置が設けられる補助金も、制度ごとに存在します。承認の一般的效果として補助金が付くわけではないため、利用したい個別の補助金の公募要領で応募資格と加点の有無を確認してください。
Q「経営革新」というと大それた技術開発を想像しますが、既存事業の延長でも申請できますか。
「新事業活動」の類型には、商品の新たな生産・販売の方式の導入や役務の新たな提供の方式の導入が含まれ、ガイドブックの記載事例には果物小売業者のフルーツパーラー開店、旅館の空室を日帰りリラクゼーション施設へ改装といった例があります。自社にとって初めての取り組みで、同業・同地域で相当程度普及していないものであれば申請可能です。他社で既に採用されている技術・方式の活用も原則として承認の対象とされています。
Q付加価値額の算式は、自社の経理上の「付加価値率」とは違うのでしょうか。
経営革新計画の付加価値額は、営業利益+人件費+減価償却費(損金算入されるリース・レンタル費用を含む)と定義されています。短時間労働者・派遣労働者の費用を人件費に算入し、従業員数にも加えることが指定されているため、業界で使われる付加価値率の定義とは一致しないことがあります。直近3期の決算書から、この算式どおりに数値を算出したうえで目標を置いてください。計画終了時点で付加価値額または一人当たり付加価値額が正の値であることも必要です。
Q承認の有効期間は何年ですか。途中で計画が変わったらどうしますか。
事業期間は3年・4年・5年から選択します。承認後は計画開始時から1年目以後2年目以前にフォローアップ調査が行われ、計画の実施内容や数値目標を変更する場合は様式第14による変更承認申請が必要です。承認された計画は、申請者が自由に変更できるものではありません。
Q金融機関からの融資は、承認があれば確実に受けられますか。
受けられません。ガイドブックは「計画の承認は支援を保証するものではなく、計画の承認後に別途審査が必要」と明記しています。承認によって信用保証の別枠や公庫の特別利率といった優遇条件を利用できる対象になったにすぎず、貸付自体は各機関の通常の審査を通ります。ガイドブック自身が、申請と並行して関係機関に相談することを推奨しています。
Q経営力向上計画や先端設備等導入計画との使い分けはどうすればよいですか。
経営革新計画は新事業活動による成長投資、経営力向上計画は基礎体力づくり、先端設備等導入計画は賃上げ表明つきの設備投資と、役割が分かれています。設備投資の税制優遇(中小企業経営強化税制、固定資産税の特例)は経営力向上計画・先端設備等導入計画の側に置かれているため、税制を狙うならそれらの計画として申請します。3つの計画は排他ではないため、新事業の金融支援を経営革新計画で、設備投資の税制を別の計画で、と並行して持つ構成ができます。
Q創業して間もない会社でも申請できますか。
申請できます。別表3の経営計画及び資金計画は創業3年未満の場合、記入できる範囲を記載することとされています。申請者の要件は中小企業者の基準(業種別の従業員数基準)を満たすこと、数値目標は事業期間中の伸び率で示すことなので、直近の実績が少ない会社は、事業期間の選択と新事業の立ち上がり時期の見通しに留意して計画を立ててください。
Q申請から承認までどのくらいかかりますか。
所要期間は申請先の都道府県や審査の状況により異なり、一次情報として全国共通の標準日数は示されていません。申請の流れは、都道府県担当部局への事前相談、書類作成、提出、知事等の承認という順序で、申請様式や追加資料は都道府県ごとに異なる部分があります。利用したい支援策(保証、融資)がある場合は、その機関の審査期間も含めて、申請先の担当部局と各支援機関に確認してください。
出典・調査の対象範囲
- 中小企業庁「経営革新計画」「経営革新計画進め方ガイドブック」(2025年4月改定) — 承認要件、数値目標の算式、承認後の支援措置、経営革新補助金の廃止。
- e-Gov法令検索「中小企業等経営強化法」 — 制度の根拠法。
- 日本政策金融公庫「新事業活動促進資金」「金利情報」 — 融資限度額・期間・特別利率。利率は金融情勢で変動します。
※本稿は制度の考え方を整理したもので、承認や融資・保証の可否を保証するものではありません。申請時は都道府県等の申請窓口と各機関の最新情報を確認してください。



